【ピーノ・ダニエレ】気取らない歌詞と透き通る歌声で魅了する ナポリの人々に愛され続けるシンガー -Pino Daniele-

ピーノ・ダニエレ

人物紹介

ナポリの人々から愛されてやまない人物といえばポリ出身の歌手ピーノ・ダニエレ(Pino Daniele)です。

2015年に心臓発作でこの世を去ってしまったピーノ・ダニエレですが、その存在は今も色褪せるどころかナポリを中心に多くの人の中で輝き続けています。

6人兄弟の長男としてナポリの港地区で育ったピーノは、学校の年間アルバムの写真が買えないほど貧しい家庭で育ちました。そんな環境で育ったピーノですが、幼少期から誰よりも音楽への関心が高く、独学でギターを弾きながら音楽の世界に没頭しました。

10代の半ばには友人らと"New Jet"というグループを結成し、街の広場のイベントなどで音楽活動を開始、そのたぐいまれな才能はこの頃からすでに頭一つ抜き出ていたといいます。その後イタリアのEMIから初アルバム"Terra Mia(テッラ ミア-私の土地)"でデビュー。"私の土地"というタイトルだけあって、生まれ育った街であるナポリを題材にした"Na tazzulella 'e cafè"や"Napule è"などの楽曲を収録したもので、ナポリ語で歌われる気取らない率直な歌詞とピーノの美しい歌声は、すぐに地元ナポリを中心に人気を集めました。

その後もイタリア国内だけでなく、パット・メセニー、エリック・クラプトン、チック・コレアなど世界的なアーティストとも共演し、イタリアを代表する歌手としてほぼ毎年アルバムを制作したり、コンサートなどを精力的にこなしました。

2015年突然の別れを告げたピーノ。イタリア全土から彼を惜しむ声が上がる中、イタリア中の有名アーティストが、ナポリのサンパオロスタジアムに集まり彼の楽曲を歌う追悼コンサートが開催されました。彼の残した音楽と故郷ナポリを愛する想いはナポリの人々の中で生き続けています。

楽曲紹介

ピーノダニエレの代名詞ともいえるこの曲。「ナポリはー」というフレーズが続いていくこの歌詞の中には、ナポリという街が持つ熱気とエネルギー、貧しさや困難の中にある人々の優しさと心。そんな良いところも悪いところも持ち合わせた魅力溢れる街・ナポリへの想いが綴られています。

16世紀のスペイン領属時代のナポリで、不当な政治に対して立ち上がった市民の革命児マサニエッロ(Masaniello)の最後の演説にヒントを得てつくられたこの曲。マサニエッロは自由を掲げて革命を起こしましたが、政府に薬を飲まされ狂気の沙汰となり暗殺されました。この歌にでてくる"狂った"主人公は、マサニエッロとは異なるこの時代に、その"正気のなさ"を理由に法律に縛られず、自由や思った事を公言しています。メッセージを発することの大切さを改めて感じされるこの曲、最後のピーノが歌う"nun nce scassate 'o cazz!"がたまらなく好きです。

彼の歌の中でもかなり好きなこの曲、サラ。ピーノ・ダニエレの長女サラへの想いを歌にしたこの曲には、ピーノ自身の子供であるサラへの父親の愛情で満ちています。不要なことが溢れるこの世の中で、唯一無二の存在である娘の笑顔。その娘の笑顔と将来を見守る父親としてのピーノ・ダニエレのこの歌にはもう感動せずにはいられません。特に途中の"Sara sarà sarà..." の部分には、子供の成長の喜びと、いつかは旅立つ切なさまで全部入ってます！もうこの曲は世の中の父親全員が聞くべきだと思ってます。

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