有名なカンツォーネは数多くありますが、おそらくオーソレミオと並んで最も有名なカンツォーネのひとつが「帰れソレントへ(Torna a Surriento)」だと思います。
一度ソレント半島を訪れた方であれば、この曲を聴くとどこか懐かしくなり、もう一度その地に帰りたくなってしまいます。
帰れソレントへの誕生ストーリー
「帰れソレントへ」という曲がつくられたのは1902年9月、当時のイタリア首相ザナルデッリのソレント来訪を受けて、ソレント市長が非凡な才能で知られていたデ・クルティス兄弟へ楽曲制作を依頼したものとされています。
その背景にはソレントが抱える公共事業などのいくつかの問題を解決するため、首相の政治的支援を得る必要があったようです。実際にザナルデッリ首相の支援を受けて、イタリア郵便局の開局をはじめとする政策が認可され、ソレントの街の発展に貢献しました。
デ・クルティス兄弟は市長の依頼からわずか数時間で楽曲を完成させ、首相ザナルデッリに披露したといわれています。
本当の誕生秘話
ザナルデッリ首相のためにつくられた楽曲、ということが語り継がれて定着したものの、実は「帰れソレントへ」の曲自体はすでに1894年につくられたものだったということがわかっています。
ソレント市長の「すぐにザナルデッリ首相のための曲をつくってくれ」という無茶ぶりに答えるには一から楽曲をつくっている暇なんてなかったはずです。
もともとはデ・クルティス兄弟の兄、ジャンバッティスタ・デ・クルティスの恋人であったカルメーラへの気持ちを綴った歌詞であったともいわれています。
帰れソレントへを聴いてみよう!
「帰れソレントへ」の歌詞は、ソレントを離れてしまう恋人に向けて語りかけているような歌詞で、作詞者のソレントへの愛情と恋人が去ってしまう哀愁が見事に感じられる楽曲です。
ナポリの方言を使ってかかれているところも故郷への愛を感じさせますね。
パヴァロッティの帰れソレントへ
・イタリアを代表するテノール歌手、パヴァロッティの帰れソレントへは鳥肌もの
ジジ・ダレッシオの帰れソレントへ
・ナポリのネオメロディコの歌手として人気のジジ・ダレッシオも帰れソレントへを歌っています。
現代風にアレンジされていて、こうするとイメージもかなり変わります。
~歌詞・対訳~
Vide 'o mare quant'è bello!
Spira tantu sentimento,
Comme tu: a chi tiene mente,
Ca scetato 'o faje sunnà.
Guarda, guà chistu ciardino!
Siente, siè 'sti sciure 'arancio!
'Nu prufumo accussì fino
Dint' ô core se ne va.
E tu dice: "Io parto, addio!"
T'alluntane da 'stu core.
Da la terra de ll'ammore
Tiene 'o core 'e nun turnà?
Ma nun me lassà,
Nun darme 'stu turmiento!
Torna a Surriento,
Famme campà!
Vide 'o mare de Surriento!
Che tesore tene 'nfunno!
Chi ha girato tutt' 'o munno,
Nun ll'ha visto comm'a ccà!
Guarda attuorno, 'sti Ssirene
Ca te guardano 'ncantate
E te vonno tantu bbene,
Te vulessero vasà!
E tu dice: "Io parto, addio!"
T'alluntane da 'stu core.
Da la terra de ll'ammore
Tiene 'o core 'e nun turnà?
Ma nun me lassà,
Nun darme 'stu turmiento!
Torna a Surriento,
Famme campà!
海をみてごらん、何て美しいんだ!
気持ちを高めてくれる
まさに君のよう 君が見つめると
夢の中へと誘われる
見て、見てごらんこの庭を!
感じて、感じてごらんオレンジの花!
こんな香りが
心の中にまで伝わってくる
君は言う "私は発つ、さよなら!"
私の心から離れていく
愛の地から
帰らない勇気があるのかい?
私を置いてかないで
こんな苦しみは耐えられない
帰れソレントへ
私を生かせてくれ!
ソレントの海を見てごらん!
宝のように輝く海底
世界中を旅した者でも
こんな景色はみたことがない!
周りを見てごらん、人魚たち
君にうっとりしている
君のことをすごく気に入っていて
キスをしたいって!
君は言う "私は発つ、さよなら!"
私の心から離れていく
愛の地から
帰らない勇気があるのかい?
私を置いてかないで
こんな苦しみは耐えられない
帰れソレントへ
私を生かせてくれ!
※日本語訳は意訳です。
帰れソレントへを聴くには
CDで帰れソレントへを聴くならパヴァロッティのイタリア民謡集がダントツでオススメです。帰れソレントへの他にもオーソレミオやフニクリフニクラなど、名曲尽くし。パヴァロッティの素晴らしい歌声で有名なカンツォーネを聴ける一枚です。
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帰れソレントへに限らず、他のイタリア人アーティストの楽曲も意外とたくさん配信されていて、以前はイタリア人アーティストのCDを手に入れるのって結構大変だったのですが、このサービスを利用すれば簡単に楽しめます!
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