日本で「ジェノベーゼ」と聞くとすぐにバジルの鮮やかな緑のソースを思い浮かべますよね。
でも、ナポリでのジェノベーゼは日本人がイメージしているパスタとは全く別のものなんです!地味な見た目からは想像できないほど、旨味がたっぷりのナポリのジェノベーゼをご紹介します。
ナポリ風ジェノベーゼとは
ナポリ風ジェノベーゼってどんなパスタなのでしょう。
ジェノベーゼとは「ジェノヴァ風」という意味で、バジルペーストのパスタは確かに北イタリア・ジェノヴァの料理ですが、イタリアでは「ペスト(Pasta al Pesto)」と呼ばています。
これを知らないで、てっきりバジルペーストのことだと思い込んでナポリで「ジェノベーゼ」を注文すると鮮やかな緑とは程遠い茶色いパスタが出てきてびっくりします!
ナポリの伝統料理であるジェノベーゼはたっぷりの玉ねぎと牛肉を煮込んだソースでつくるパスタで、甘い玉ねぎと筋のある部位からでる牛肉の旨味が絶品!玉ねぎの甘みが好きな日本人にも合うパスタだと思います。
ナポリ風ジェノベーゼの由来
なぜナポリで「ジェノベーゼ」という名のパスタが生まれたのでしょう。
起源は15-16世紀ごろ、当時イタリア半島の中でも港町として栄えていたナポリとジェノヴァは貿易も盛んに行われていて、船の行き来も多くありました。そんなジェノヴァから来たコックがつくっていたのが牛肉と玉ねぎの煮込み。これがとても好評で、この「ジェノヴァ風(alla Genovese)」という名前がつけられたといいます。
その他にも、ジェノヴァ人はケチということでも知られていたため(あくまでナポリの人たちからみたらですが)、ナポリのコックが安くて大量にあった玉ねぎをつかったパスタを考案し、ジェノベーゼと名付けたという説や、つくったコックの名字がGenoveseだったという説もあります。
なにはともあれ、ナポリの人たちが好んだジェノベーゼは数百年経った今でも、変わらずに誰もが大好きなパスタとして、ナポリの食卓に登場します。
レシピ紹介
今回はジェノベーゼの伝統的なレシピをご紹介します。玉ねぎの他にセロリやにんじんを少し入れても美味しくなりますが、今回はシンプルに牛肉と玉ねぎのみ。
お肉は基本的には牛スネ肉などの筋っぽい煮込み用のお肉を使います。牛肉だけでなく豚肉をいれてももちろんOKです。パスタの種類はお好みですが、スパゲッティよりもショートパスタの方がよく合います。パッケリやズィーティ、リガトーニなどがオススメです。
・牛スネ肉 1kg
・玉ねぎ 1.5kg
・白ワイン コップ1杯
・ミニトマト5個
・パルミジャーノチーズ 適量
・黒胡椒 適量
①玉ねぎをスライスしていきます。そこまで薄くしようとしなくても、ざっくりでOK。
②スライスした玉ねぎを大きめの鍋に入れ、多めのオリーブオイルであめ色になるまで炒めていきます。この時に少し塩を振ってあげると玉ねぎの水分を引き出し、甘さもでます。
③玉ねぎを炒めている間に牛スネ肉を焼いていきます。まず、お肉の全面に塩をまぶします。
④強火で温めたフライパンに油をいれて、牛スネ肉を焼いていきます。表面にしっかり焼き色をつけて旨味を閉じ込めましょう。
⑤しっかり全面に焼き色がついたらお肉をフライパンから取り出します。焼き油を捨て、白ワインを加えてこびりついた肉の旨味をこそげとります。
⑥玉ねぎがこんな感じになればOK
⑦玉ねぎを炒めた鍋に、⑤の焼いた牛スネ肉とフライパンにある白ワイン、お肉がかぶるくらいの水を加えます。
そこに半分にカットしたミニトマトを加えて火にかけます。
⑧沸騰したら火を弱め、蓋をして時々アクをとりながら煮込んでいきます。お肉にもよりますが、大体1~2時間が目安です。
⑨お肉が串でさすとスッと落ちるくらいまで柔らかくなったら蓋を外して煮込んでいきます。水分がとんで、だんだんとソースが茶色くなっていき、濃度が少しでてきたらソース完成。
⑩あとはゆでたパスタとソースをあえるだけ。仕上げにパルミジャーノチーズと黒胡椒を上から振って完成!
⑪一度に全部のソースを使わずに、容器にうつして冷蔵庫や冷凍庫で保存もできます。冷蔵庫でも5日間くらいは全然持ちますし、一旦冷ますことによって味がなじんでより一層美味しくなります!
※ ナポリではパスタとソースをあえる際に、煮込んだお肉はとりだし、ソースのみでパスタを食べます。お肉はそのあとのメインディッシュとして別に食べることがほとんどです。
さいごに
いかがでしょうか。
ポイントは玉ねぎを飴色になるまでしっかり炒めることと、オリーブオイルをたっぷりめに使うこと。時間はかかりますが、料理工程はとてもシンプルなので休日の時間がある時にぜひともつくりたいパスタです。