イタリアでよく使われるパスタの種類20選!写真付きで歴史とともに分かりやすく紹介!

世界の料理の中でも大人気のイタリア料理、そんなイタリア料理の代表格がパスタです。日本でも若者から年配の方まで大好きですよね。

そんなパスタには長い歴史があり、その種類もかなり豊富で、イタリア人でさえも全ての種類なんてとても把握できないほど。そんなパスタの歴史と代表的なパスタの種類をみてみましょう。

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パスタの歴史

パスタは現在の形に至るまでとても長い歴史があります。パスタの歴史にはその時代背景がとてもよく反映されていて、当時の人たちの知恵と工夫により発展していきました。

パスタの起源は古代ローマ時代

そもそも"パスタ(Pasta)"とは、いわゆるスパゲッティやマカロニなど以外にも"練ったもの"という意味が含まれていて、パンの生地(Pasta da pane)や折パイ生地(Pasta sfoglia)、ピスタチオのペースト(Pasta di pistacchio)などにも"パスタ(Pasta)"という言葉が使われます。

すでに古代ローマ時代にはこうした小麦を練ってつくる"パスタ"が食べられていました。ローマにあるエトルリア人によって築かれた街チェルベーテリの遺跡からは、当時使用されていためん棒やレードル、生地をカットするローラー状のカッターなども見つかっています。

とはいうものの、現在私たちが想像するパスタとは全く別物で、練った生地を薄く延ばし、中に肉類などを閉じて焼きあげて食べるものでした。この料理は"ラガーナ(Lagana)"と呼ばれていて、"ラザーニャ(Lasagna)"の原型ともいわれています。

シチリアで現在のパスタが生まれる

現在食べられているパスタの形が食べられるようになったのは1154年頃のシチリアと言われています。アラブの地理学者イドリーシーによって書かれた文献に「小麦粉をつかったひも状の食べ物(un cibo di farina in forma di fili)」という文が記されていて、ここに現在のパスタの原形を見ることができます。

シチリアの都市パレルモではアラブ人によって"イートゥリヤ(itrija)"と呼ばれるパスタがつくられ、シチリア半島全体へと供給されていました。イドリーシーによると、パレルモを中心とするシチリア半島西部でつくられたパスタはシチリア半島のみならず、カラブリアやナポリ、ジェノヴァ、イスラム教の国々へと船で輸出されていたといいます。

一度の航海で大量に輸出するため、梱包しやすく、持ち運びやすいショートタイプのパスタ(いわゆるマカロニ)がつくられ、長期間の保存ができるようにパスタを乾燥させるというアイデアもこの頃生まれました。シチリアでは乾燥させるに適した地理的条件や硬質小麦もとれたので、より一層シチリアでのパスタ製造は勢いを増していきます。

ジェノヴァやナポリでのパスタ文化の発達

シチリアから伝わったパスタはイタリアの港町を中心に発達していきます。

この頃のイタリアにはまだトマトがなかったため、主にチーズをかけて食べるのが主流であったようです。砂糖やシナモンがイタリアに入るとパスタの味付けにも使われるようになりました。また、ゆで時間もかなり長く、アルデンテとは程遠いものでした。

また軟質小麦が主であった北イタリアでは、乾燥タイプのパスタ生産に向いていなかったため、生地にコシをだすために卵をつかった生パスタがつくられるようになりました。

ナポリでの乾燥パスタ革命

風通りがよく、湿度の低い気候をもったナポリ周辺やプーリアでは乾燥パスタの生産が盛んになりました。しかしナポリは17世紀に大規模な飢饉に見舞われ、人口の増加とスペイン軍からの高い税金も重なり、パンや肉などの食料は底をつきました。

そんな事態を打開したのが、この乾燥パスタです。パスタを大量に生産するためにパスタ生地を円筒状に押し出す、トルキオ(torchio)トゥラフィーラ(trafila)と呼ばれる木製の機械が発明され、ナポリ周辺のグラニャーノやトッレ・ヌンツィアータなどのヴェズヴィオ火山周辺の街で大きく発達しました。

ちなみにこの頃ナポリでつくられていたスパゲッティのようなロングパスタは長い虫を意味するヴェルミチェッリ(Vermicelli)と呼ばれていました。今でもナポリではヴェルミチェッリという呼び方をよくききます。

また、ショートパスタも種類はあったものの、マッケローニ(マカロニ)という総称で呼ばれていることが多く、それぞれに名前がついたのはまだ後のことです。乾燥パスタの生産に成功したナポリ人は"マカロニ食い"という意味の"マンジャマッケローニ(Mangiamaccheroni)"なんて呼ばれるようにもなりました。

運命の出会い ポモドーロ

パスタの歴史を語る上で欠かせないのが、トマト・ポモドーロとの出会いです!大航海時代を経てアメリカから持ち込まれたトマトは最初こそ鑑賞用として楽しまれていたものの、18世紀に入ってついに食用として使われるようになります。

パスタとトマトの相性の良さに気づいたナポリ人は観賞用として飾っていた日々をひどく後悔したこと間違いありません!

18世紀後半から19世紀のはじめにナポリ王であった両シチリア王フェルディナンドは庶民の食べ物であったヴェルミチェッリにとても興味を持ったことでも知られていて、宮廷でヴェルミチェッリを食べるために4本歯のフォークを考案させたといいます。

代表的なパスタ 20種

イタリアには何百種類ものパスタが存在します。形自体はほぼほぼ同じでも、線が入っていたり、微妙に大きさが違ってたり、切り口がななめだったり。。各州ごとに呼び名もバラバラで、毎年パスタの種類は増え続けています。

ここではイタリアの家庭でよくみかける種類のパスタを20種類ほど厳選してご紹介します!これさえ押さえておけば、イタリアのスーパーに行ったとしてもほとんどの種類がわかるはずです!

1
スパゲッティ Spaghetti

日本で一番馴染みのあるパスタといえばスパゲッティ、ロングパスタの代表格です。直径は約1.9mmで、これより細いとスパゲッティーニ(約1.6mm)、太いとスパッゲットーニヴェルミチェッリ(約2.0mm)と呼ばれます。その他にバリエーションとして断面が四角形のスパゲッティ・クアドラーティなどもあります。

パスタ例: ボンゴレ

2
カペッリーニ Capellini

"髪の毛"という意味のあるカペッリーニは、直径約0.9mmの極細ロングパスタです。冷製パスタに適しているため、夏に登場する機会が多いです。カペッリーニよりさらに細いカペッリ・ダンジェロ(天使の髪の毛)、太いフェデリニーニ(約1.4mm)もあります。

パスタ例: 冷製パスタ

3
リングイネ Linguine

"舌"を意味するリングア(Lingua)に由来するリングイネは、スパゲッティをつぶしたような形をしていて、表面は楕円形です。スパゲッティに比べて独特のコシがあって、ソースにからみやすいのが特徴です。基本的にどのソースにも合いますが、魚介ベースのソースとの相性が一番です。

パスタ例: 魚介のトマトソース

4
ブカティーニ Bucatini

"穴のあいた"という意味のブカティーニは、その名の通りスパゲッティの真ん中が空洞になっている太めのロングパスタです。パンチェッタと玉ねぎのトマトソース、アマトリチャーナを作る際には欠かせません。また、ナポリの伝統的な揚げものであるフリッタティーナにも使われます。

パスタ例: アマトリチャーナ

5
ペンネ Penne

スパゲッティがロングパスタの代表ならショートパスタの代表はペンネです。"ペン"の形をしたこのパスタはどのソースにも合います。溝のはいったリガーテ(Rigate)と溝のないリッシ(Lisci)があり、ソースによって使い分けます。

大きさによってペンネッテ(Pennette)、ペンノーネ(Pennone)、メッツェペンネ(Mezze penne)など色々な種類があります。

パスタ例: アラビアータ

6
フジッリ Fusilli

ネジったような形をしていて、昔からつくられているパスタ。乾燥パスタもあれば生パスタもあって、ロングタイプもあればショートタイプもあります。らせん状になった溝にソースがよく絡むため、具の多い濃厚なソースによく合います。

似たような形状にエリケ(Eliche)、ジェメッリ(Gemelli)、ギオットレ(Ghiottole)などがあります。

パスタ例: クリームソース

7
リガトーニ Rigatoni

筒状の形をしていて、線(Riga)が入ったパスタがリガトーニです。こちらもショートパスタの代表的なパスタで、しっかりしたトマトベースのラグーなんかにもってこいのパスタです。

同じような形のパスタにセーダニ(Sedani)、ミッレリーゲ(Millerighe)、トルティリョーニ(Tortiglioni)などがあります。

パスタ例: ラグーソース

8
カサレッチェ Casarecce

"家庭風"という意味のあるカサレッチェは、内側にくるんと丸まったユニークな形をしたパスタで、南イタリア、特にシチリアで日常的に食べられています。イワシとフィノキエットのソースやシチリア風ペストなどによく合います

パスタ例: イワシとフィノキエットのソース

9
マンフレディ Manfredi

ひだひだの形状をしたパスタのマンフレディは、カンパニア州でよく食べられるパスタで、ロングタイプのものとショートタイプのものどちらもあります。場所によってはマファルデ(Mafalde)やレジネッテ(Reginette)などとも呼ばれます。

パスタ例: リコッタとトマトソース

10
コンキリエ Conchiglie

"貝殻"を意味するコンキリエは、名前の通りかわいらしい貝の形をしたパスタです。噛み応えのあるパスタなのである程度しっかりゆでることが大切です。魚介のソースで合わせれば見た目もバッチリです。"カタツムリ"を意味するルマーケ(Lumache)というパスタも形状は似ています。

パスタ例: 魚介のソース

11
ファルファッレ Farfalle

"蝶"を意味するファルファッレは見た目もかわいらしくて人気のショートパスタです。見た目重視かと思いきや、蝶のはねのひだひだの部分にソースが絡みます。サーモンのクリームソースはファルファッレでつくるのが定番です。

パスタ例: サーモンのクリームソース

12
ズィーティ Ziti

南イタリアのショートパスタ代表がズィーティです。日本ではあまり知られていませんが、イタリアではよくみかけるパスタで、いわゆるマカロニのような筒状をしています。本来ズィータは長いロングタイプのパスタで、茹でる際に折ってショートパスタにしますが、現在はすでにカットされているものもよく使われます。似たタイプにカンデーレ(Candele)やメッツァネッリ(Mezzanelli)などがあります。

パスタ例: ナポリ風ラグーソース

13
ディターリ Ditali

"指抜き"の形をしたディターリは、小さく、スープなどに入れて食べるタイプのパスタです。これより小さいものだとディタリーニ(Ditalini)と呼ばれ、スープに入れて食べるタイプには他にもアネッリーニ(Anellini)、キッフェリ(Chifferi)、ロンビ(Rombi)などがあります。

パスタ例: ミネストローネ

14
パスタミスタ Pasta mista

色々な形をしたパスタを寄せ集めたのがパスタミスタです。もともとは家庭で半端に余ってしまったパスタを集めて料理にしていたものの名前ですが、最近では意図的にパスタミスタとして売られています。パスタミスタもソース(ブロード)と一緒にゆでるタイプのものです。

パスタ例: パスタ エ ファジョーリ

15
タリアテッレ Tagliatelle

生パスタの代表といえばタリアテッレです。卵をつかった黄色の生地を薄く延ばし、平打ち状に成形したもので、クリーミーでリッチなソースとの相性は抜群です。

タリアテッレより細いものはタリオリーニ(Tagliolini)と呼ばれることもあります。また、ローマでは少し太めのフェットチーネ(Fettuccine)という名がポピュラーです。また、さらに幅広いパスタだとパッパルデッレというパスタも有名です。

パスタ例: カルボナーラ

16
ラザーニャ Lasagna

おそらく一番歴史のあるパスタであるラザーニャ。各地方によって作り方は様々で、トマトソースをベースにしたもの、ボロネーゼソースをベースにしたもの、ベシャメルソースをベースにしたものなどがあります。ナポリではカルネヴァーレには欠かせないパスタです。

パスタ例: ナポリ風ラザーニャ

17
オレキエッテ Orechiette

"耳たぶ"という意味のオレキエッテは、プーリア州の特産パスタで、ブロッコリーやチーマ・ディ・ラーパといった緑の野菜と合わせるのが定番です。生パスタが主流ですが、乾燥したタイプもあります。

パスタ例: ブロッコリーとサルシッチャのソース

18
ニョッキ Gnocchi

じゃがいもを使ったパスタとして知られるニョッキ。家でも気軽につくれることから、おばあちゃんの定番レシピとしても知られています。独特のモチモチとした食感は日本人にも親しみやすいパスタです。

魅力的な女性の事を指して"ニョッカ(Gnocca)"と呼んだり、逆にのろまな人のことも"ニョッコ(Gnocco)"と呼んだりもします。

パスタ例: ソレント風トマトソース

19
ラヴィオリ Ravioli

平たい形状で詰め物が入った生パスタ、ラヴィオリ。北イタリアでは肉や、魚、チーズに野菜など詰め物にバラエティーがあるのに対して、南イタリアではほとんどの場合リコッタチーズを使用することがほとんどです。

その他、詰め物のパスタの代表的なものとしてアニョロッティ(Agnolotti)、トルテッリーニ(Tortellini)などが有名です。共通しているのは生パスタ、詰め物系のパスタは北イタリアの方が凝っています。

パスタ例: トマトソース

20
トロフィエ Trofie

"木くず"という意味のトルーチョロ(Truciolo)に由来する、トロフィエはリグーリア州ジェノヴァの特産品で、ねじれた形が特徴の生パスタです。同じくジェノヴァ特産のバジルペーストのソースと合わせます。

パスタ例: バジルペースト(ジェノヴェーゼ)

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色んな種類のパスタを楽しもう!

いかがでしょうか。最近では日本のイタリア料理店で見かけないパスタはないというくらい、日本でもたくさんの種類のパスタを食べられるようになってきました。

ソースに合わせてどのパスタを選ぶかで、その一皿の印象もグンと変わってくるので、パスタとソースとの相性を楽しみながら、お気に入りの組み合わせを見つけるのも楽しいですね!

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