ナポリピッツァの特徴とは?生地や窯などについてピッツァ職人が詳しく解説!-Pizza Napoletana-

ナポリのグルメを語る上で絶対に欠かせないのがナポリピッツァ!街中には至る所にピッツァを専門とするピッツェリア(Pizzeria)があり、ナポリ人にとってまさにソウルフードといえる存在です。

僕自身そんなナポリピッツァの魅力にみせられてナポリの地へとやってきたわけですが、「ナポリピッツァの特徴って一体何?」「他のピッツァの生地と何が違うの?」という声をよく耳にします。今回はそのナポリピッツァの特徴について詳しくご紹介したいと思います!

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ナポリピッツァの歴史

ナポリピッツァの特徴の前にまずは歴史から。
現在のようなナポリピッツァが食べられるようになったのは意外と最近ですが、ピッツァの祖先の歴史はとっても長いんです。

古代エジプトから古代ローマへ

ピッツァの歴史はとても古く、その起源はパンの歴史とかぶります。麦や穀物をつかい、練って焼いたものはメソポタミア文明の時代(約6000~8000年前)にすでに確認されていて、古代エジプトに伝わると(約3000年前)さらに偶然的に生地を発酵させて焼き上げるという方法が発見されました。

その後古代エジプトから古代ギリシャ、古代ローマへと伝わっていき、古代ローマでは小麦粉に水、塩、ハーブを練りこんで石窯で焼き上げるフォカッチャのようなものもつくられるようになりました。

"ピッツァ"という名前の由来

ピッツァという名前の由来には諸説あるようですが、一番有力なのは6~7世紀ごろ、ゲルマン系ロンバルド族が南下してきた際に彼らの言語で「ひと口、ひとかじり」を表す"bizzo-pizzo(ビッツォ-ピッツォ)"という単語が定着したという説です。

997年に南イタリア・ガエータでは、すでにフォカッチャのようなものを"Piza"と呼ぶ習慣があったことがCodex Cajetanusというガエータ周辺の歴史的文書をまとめた文献に残っています。

ナポリピッツァの原形

現在のナポリピッツァの原形が出来上がりはじめたのは16~17世紀ごろ。

ラード、羊のチーズ(ペコリーノ)、胡椒、バジルをのばした生地の上にトッピングして焼き上げたものが今のナポリピッツァの原形と言われています。マストゥニコーラ(Mastunicola)と呼ばれたこのピッツァはイタリア語で「maestro nicola(ニコラ師匠)」を意味していて、ポルタアルバ門の下にあるピッツァエリアで働いていたピッツァ職人ニコラが考案したとされています。

その後18世紀に入り、イタリアにトマトが持ち込まれると一気に現在のナポリピッツァに近づきます。当初は観賞用だったトマトも、料理に使えることが分かるとピッツァやパスタなどの材料として欠かせない存在となります。1889年マルゲリータ王妃のためにつくられたとされる、トマト・モッツァレラチーズ・バジルを使ったかの有名なピッツァ・マルゲリータはナポリピッツァの定番となり、今日まで多くの人に愛され続けています。

マストゥ二コラ
Pizzeria Port'albaのマストゥニコーラ
マルゲリータ
大定番みんな大好きなマルゲリータ!

ユネスコ無形文化遺産へ登録

2017年にはナポリピッツァをつくるピッツァ職人の技がユネスコ無形文化遺産に指定されました。伝統的なナポリピッツァの技法は1年や2年で習得できるものではなく、長年の修業の上で身につけていくものです。そうしたナポリピッツァの職人たちの仕事が評価されたのは多くのピッツァ職人にとっても誇らしいニュースとなりました。

今でもナポリにはたくさんの優秀なピッツァ職人が美味しいピッツァを焼き上げています。

ナポリピッツァの特徴

イタリア全土で食べられる国民食のピッツァですが、ナポリでつくられるナポリピッツァは他のどこの州のピッツァとも違います!イタリア人からみてもナポリのピッツァは別格といわれる所以をみていきましょう。

1. 生地

ナポリピッツァの生地はいたってシンプルです。生地に使う材料は小麦粉イーストのたった4つのみ!それ以外の材料を入れることは認められておらず、これらの材料のみで生地をつくることが定義されています。

言ってみればナポリピッツァのお店は小麦粉の種類などの差はあるものの、どこもほとんど同じ材料でナポリピッツァをつくっているのです。まさにピッツァ職人の腕の見せ所はここで、材料の合わせ方、タイミング、温度、捏ね方、捏ね時間、水分量などによって同じ材料でも全く違う生地が仕上がるのです。

ピッツァ職人は通常、水の量を基準に塩とイーストを量りますが、小麦粉は基本的に計りません。これは小麦粉は湿度や保管環境によって常に一定ではなく、最適な生地の仕上がりに必要な小麦粉の量もその日の気温や湿度によっても変わるためです。

ピッツァ生地を捏ねるマシンは「フォーク式」「ダブルアーム式」「スパイラル式」の3つの型の使用が認められています。スパイラル式はパン屋さんなどでも一般的ですが、「フォーク式」「ダブルアーム式」はナポリのピッツェリアならではのマシンといえます。フォーク式はゆっくりと生地を捏ねることでグルテンの形成を抑えて歯切れの良い生地をつくるのに適していて、「ダブルアーム式」は昔ながらの手ごねを再現するかのような動きで捏ねあげることが可能です。

生地
「フォーク式」とよばれるピッツァ生地用のマシン。ナポリでも愛用しているピッツェリアは多い。
生地
捏ね上げた生地を休ませた状態。「やわらかいけどダレてない生地」が理想

2. 長時間発酵

ナポリピッツァの生地づくりの中でも、とても重要なのが発酵・熟成の工程です。ナポリピッツァは最低でも8時間以上の長時間発酵・熟成を必要としていて、ナポリピッツァ独特の生地の香ばしさや風味はこの工程で生み出されます。

ナポリでは、もともと冷蔵庫などは使わずに常温で発酵管理するのが基本でしたが、現在では温度管理や保存のしやすさなどから冷蔵庫を使うピッツェリアも増えています。個人的には冷蔵庫を使用するのは好きではないのですが、冷蔵庫を使うか使わないかは職人によっても意見が分かれます。一つ確かなことは焼成時には常温に戻っていることがポイントです。

また、伝統的に生地は木製の番重で発酵させます。木製の番重は生地から出る水分を木が吸収し外に逃がし、適度に乾燥した状態を保つことができます。「生地が呼吸する」という表現がよく使われます。

発酵時間を短縮するためにイーストが多く入った生地は消化が悪く、胃もたれしやすい生地となってしまうため、最小限のイーストでゆっくり発酵させることが消化のいい、軽いナポリピッツァ生地のための条件です。

発酵
モッツァレラチーズの製造工程に似ていることから「モッツァトゥーラ」とよばれる分割をしたあとの生地。
発酵
8時間後、まさに焼きどきのピッツァ生地!ちなみにナポリはひとつ約280g!(日本では約200~230gが一般的)

3. 伝統的な手のばし

ローマ風ピッツァや天板で焼くタイプのピッツァなどはめん棒をつかって薄く生地を伸ばすことがありますが、ナポリピッツァはで生地をのばします。これは発酵の際にできた気泡をつぶさずに、まんべんなく広げるためです。熟練された職人によって少ないタッチ数で手早く、均一にのばされた生地は焼き上がりのピッツァの表情もきれいです。

ナポリピッツァといえば外側のコルニチョーネとよばれる縁がむくっと膨らんでいるのが特徴的ですが、この膨らみも手延ばしで生地内にある空気を外側に押し出すことによってできるものです。

ここで注意なのが、あくまでコルニチョーネは押し出された空気によって膨らむもの。意図的にコルニチョーネ(縁)に生地をよせて焼いたものは、中がつまった状態になってしまい、重いコルニチョーネ、生焼けの原因となってしまいます。

手延ばし
生地の中にできた空気を移動させるイメージで広げていきます。
手延ばし
ふっくら膨らんだコルニチョーネは見てるだけで幸せ!

4. 薪窯での焼成

どんなにいい生地をつくって、どんなに素晴らしいのばし方をしようとも、一瞬で台無しにしてしまう可能性もあるのが、最後の窯での焼成です。

ナポリピッツァの窯は400℃を超える高温で、焼き時間はわずか60~90秒程です。伝統的には薪窯が使われていますが、最近では建物の設備等の都合によりガス窯の利用も進んでいます。

重要なのは薪なのかガスなのかではなく、窯の構造にあります。ナポリピッツァの窯内部は熱の対流を起こさせるためドーム状になっていて、薪またはガスによって焚かれた火の熱は窯の上部へと上がり、対流し、窯口から排気されます。このドーム状の構造のおかげで熱が上部だけでなく窯全体をあたためることができ、ピッツァを直接的な熱ではなく、間接的な熱で焼くことができます。

また、窯内部はそれぞれの場所で温度が違っていて、例えばドームの天井近くでは450℃以上の高温になりますし、窯口付近は350℃ほどの低い温度、火の近くでは部分的な高温になります。こうした窯の特性をうまく利用し、状況に応じて焼き上げるのがナポリピッツァの職人技です。

過度の高温で短時間で焼かれたピッツァは水分が抜けきらず、生焼けや、歯切れの悪いピッツァとなってしまいますし、かといって低い温度で時間をかけすぎれば水分は必要以上に抜け、固いピッツァとなってしまいます。

焼成
路床に置いて焼くことで下からもしっかりと火が入ります。
焼成
均一に全面がしっかりと焼かれたピッツァ。焼きムラをなくすには窯全体の熱で焼くことがポイント。

5. ピッツァの食べ方

ナポリピッツァは一人一枚食べるのが基本的なスタイルです。日本人にはなかなか馴染めないスタイルですが、日本でいうラーメンのようなものだと考えてください。ラーメンをシェアしないのと同じようにピッツァもシェアはせずに、アツアツの焼きたてを頬張ります(ラーメンはのびますが、ピッツァは固くなります)。

手をつかって豪快に食べるもよし、フォークとナイフを使ってきれいに食べるもよし、ナポリの人たちでも半々くらいに分かれると思います。そしてピッツァの縁・コルニチョーネを結構残す人が多いのも事実で、ピッツァ職人はお皿にコルニチョーネが残っていないのを見るとすごく喜びます!

また、道端で小さめのサイズのピッツァをお財布のように折りたたんだ、ピッツァ・アル・ポルタフォッリョ(Pizza al Portafoglio)を売っているピッツェリアも多く、まさに庶民のストリートフードといえます。

食べ方
ピッツァは手で食べるもの!という意見もナポレターノの間では根強いです。
食べ方
フォークとナイフを使った方がバランスよく食べれて美味しいのに、、という意見も。

魅力溢れるナポリピッツァ

ナポリピッツァの歴史と特徴をご紹介させていただきましたが、いかがでしょうか。

ナポリの人たちにとってピッツァはとても身近な食べ物で、友人同士のランチや、家族そろっての食事、恋人同士のディナーなど、様々なシーンで登場します。安くて早くて美味しい、しかも栄養バランスもバッチリ!そんなナポリピッツァをみんな誇りに思っています。

近年では日本でもナポリで修業を積んだピッツァ職人たちが日本で本格的なナポリピッツァを提供するピッツェリアをオープンしています。日本で本場の味を堪能できるのはうれしいですね!

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