ナポリの広場で最も有名な広場といえるのがプレビシート広場(Piazza del Plebiscito)です。
プレビシート広場は、トレド通りの終わりであるトリエステ・トレント広場の近くに位置し、その先を行けばナポリ湾沿いにのびるルンゴマーレへと続きます。
プレビシートの歴史
スペイン領属時代
16世紀、ナポリはスペイン・ハプスブルク朝の統治下にあり、スペイン人の総督がナポリを治めるスペイン領属時代でした。プレビシート広場の原形はこのスペイン領属時代の1543年、ナポリ総督ペドロ・デ・トレド総督(Don Pedro de Toledo)により、総督の館(Palazzo Vicereale)を現在のトリエステ・トレント広場の近くに建設したのを機にその姿をあらわします。
その後1600年に総督の館のすぐ隣にナポリ王宮(Palazzo Reale)が建てられると、王宮前に広がることから"宮廷前広場(Largo del Palazzo)"と呼ばれるようになり、ナポリ人にとって特別な広場となります。
イタリア統一選挙
1860年ジュセッペ・ガリバルディ(Giuseppe Garibaldi)がシチリアから北上しナポリを占拠すると、サルデーニャ王国との併合の賛否を問う国民投票がこの広場で行われました。
結果、圧倒的賛成多数でイタリア統一へと向かっていき、この広場は国民投票を意味する"Plebiscito(プレビシート)"と呼ばれるようになります。
駐車場としても活躍!?
1900年代後半になると、車が一般社会に普及して街に多くの車やバスなどが走るようになりましたが、ナポリの市内は細い道が多く、駐車スペースが整備されていませんでした。
そこで目をつけられたのがプレビシート広場の大きな敷地でした。広場の敷地を駐車場スペースとして活用することで市内の混雑緩和に貢献、1963年頃から1994年まで巨大な駐車場スペースとして利用され、今では考えられませんが、多くの車が広場内に駐車していました。
プレビシート広場の見どころ!
2つの騎馬像の意外な秘密
広場の中心には"アモルの接吻で蘇るプシュケ"や"ヘラクレスとりカス"などで知られる彫刻家アントニオ・カノーヴァ(Antonio Canova)によってつくられた石像がそびえ立ち、ナポリ王宮を背にして右側に馬にまたがるブルボン家スペイン王カルロ3世(CarloⅢdi Borbone)と、左側にその息子両シチリア王フェルディナンド1世(FerdinandoⅠdelle due Sicilie)の像がたちます。
このカルロ3世の騎馬像は実は"ナポレオン"が彫られるはずでした。
18世紀末ナポリの実質的王権を持っていたナポレオンの兄であるジュセッペ・ボナパルト(Giuseppe Bonaparte)がナポレオンの栄光を記念してアントニオ・カノーヴァに依頼しましたが、ナポリでのナポレオン政権は数年にして失脚し再びブルボン家がナポリを支配することになります。
政権を取り戻したフェルディナンド1世は馬だけ彫られた未完成の像をみると、騎手を父であるカルロ3世にするように命じ、2体目の自分の像もペアでつくるようにさせ、1829年に2体の馬にまたがる像が完成しました。(馬はカノーヴァ作、騎手は弟子のナポリ出身彫刻家アントニオ・カリによるもの)
サン フランチェスコ ディ パオラ教会
ナポリ王宮の反対側には王権に復権した両シチリア王フェルディナンド1世の命によって建てられた聖サンフランチェスコ・ディ・パオラ教会(Basilica di San Francesco di Paola)があります。
1846年に完成したこの教会はローマのパンテオンを参考にして建てられ、ネオクラシック様式の代表といわれます。
また、広場の左右には老舗カフェテリア・ガンブリヌスがはいっている県の政治機関の建物(Palazzo della Prefettura)と軍隊司令部が入っているサレルノ館(Palazzo Salerno)が位置します。
願い事が叶うチャレンジ!?
実はプレビシート広場には代々ナポリの人たちの間で語られている言い伝えがあります。
それはナポリ王宮を背にして立ち、サン フランチェスコ ディ パオラ教会に向かって目をつぶりながら歩いていって、見事にカルロ3世とフェルディナンド1世の騎馬像の間を通り抜けられた場合にはどんな願い事も叶うというものです!
実際にやってみると結構距離があって難しく(人の流れも多いので中々うまく歩けない)、途中でギブアップすることがほとんど!プレビシート広場に来た際はぜひチャレンジしてみましょう!
Piazza del Prebiscito
住所: Piazza del Plebiscito, 80132 Napoli NA
最寄り駅: トレド駅(Toledo, linea1)から徒歩約10分
営業時間: なし
定休日: なし
料金: 無料