イタリア語の名詞には性別がある!?
「イタリア語をはじめよう!」と思った時に、まず最初に「えっ」と思うのがこの女性名詞と男性名詞です。
日本語はもちろん、英語にもこんな定義はないですし、そもそも名詞に男も女もないでしょ!と言いたくなりますが、こればっかりは慣れるしかありません。ただ、実はそこまで難しいものではなく、最初はとっつきにくいかもしれませんが、イタリア語に触れていく中で自然と女性名詞・男性名詞の概念も身についていきますのでご心配なく!
なんで名詞に女性と男性があるのかと考えたところで答えは出ないので(歴史的背景があるのかもしれませんが)、そういうものだと割り切って学習していきましょう!
イタリア語の名詞の形
イタリア語の名詞は大きく分けると3つに分類されます。
-a で終わるもの(rosa バラ)
-o で終わるもの(piatto 皿)
-e で終わるもの(fiore 花)
大きく分けると大体がこの3種類に分類されます。
-a の形で終わるものには女性名詞が多く、-o の形で終わるものには男性名詞が多いのが特徴です。例外的にこれに当てはまらないものもありますが(下で紹介します)、ほとんどの場合この考え方で大丈夫です。
-e の形で終わるものには女性名詞と男性名詞それぞれたくさん存在するため、これに関してはイタリア語と接していくうちに覚えていくほかありません。
女性名詞の見分け方
●語尾が -aで終わる名詞
女性名詞の一番の見分け方は前述したように、語尾が -aの形で終わる名詞はほとんどが女性名詞です。
sedia(セーディア 椅子)
macchina(マッキナ 車)
finestra(フィネストゥラ 窓)
porta(ポルタ 扉)
●語尾が -eで終わる名詞
語尾が -eで終わる女性名詞もたくさん存在します。
fame(ファーメ 空腹)
luce(ルーチェ 光)
nave(ナーヴェ 船)
chiave(キアーヴェ 鍵)
●科学・学問
科学や学問の科目などは女性名詞であることが多いです。
matematica(マテマーティカ 数学)
scienza(シエンツァ 科学)
chimica(キミカ 化学)
filosofia(フィロソフィア 哲学)
●都市名
都市名や地名は女性名詞であることが多いです。例えばNapoli(ナポリ)やSicilia(シチリア)、Firenze(フィレンツェ)も女性名詞です。Milano(ミラノ)やTorino(トリノ)などは -oで終わるため、男性名詞と勘違いしてしまいやすいので注意が必要です。
例えば、「ミラノは美しい」という文章を作る時に、ミラノは女性名詞であるため、形容詞である「bello(美しい)」もそれを受けて「bella(美しい)」というふうに変化します。
○ Milano è bella(ミラノは美しい)
× Milano è bello(ミラノは美しい)
●-zione, -sione, -gione, -tudineで終わる名詞
これはとても分かりやすいのですが、語尾が -zione, -sione, -gione, -tudineで終わる名詞は女性名詞です。この形で終わる単語は結構多いので覚えておきましょう!
stazione(スタツィオーネ 駅)
emozione(エモツィオーネ 感動)
dimissione(ディミッシオーネ 辞任)
religione(レリジョーネ 宗教)
abitudine(アビトゥーディネ 慣習)
●-a', -u'で終わる名詞
最後の母音にアクセントがくる単語で、-a', -u'で終わるものは女性名詞です。
citta'(チッタ 街)
comunita'(コムニタ 共同体)
virtu'(ヴィルトゥ 美徳)
gioventu'(ジョヴェントゥ 青春)
●語尾が -iで終わる名詞
数は少ないですが、まれに複数形ではなくて、単数形で語尾が -iの形で終わるものがあります。その多くは女性名詞です(例外としてbrindisi-乾杯などは男性名詞です)
crisi(クリージィ 危機)
analisi(アナリシィ 分析)
tesi(テージィ 論文)
●語尾が -oで終わる名詞
通常 -oで終わる名詞は男性名詞ですが、例外的に女性名詞のものもあります。
mano(マーノ 手)
dinamo(ディーナモ 発電機)
radio(ラディオ ラジオ)
また、日常的に言葉を略して使っているものは、一見すると -oの形で終わるので男性名詞かのように思われますが、実際は女性名詞であることがあるので注意が必要です。
foto(フォト 写真)→fotografia
moto(モト バイク) →motocicletta
metro(メトロ 地下鉄)→metropolitana
auto(アウト 車)→automobile
男性名詞の見分け方
●語尾が -oで終わる名詞
男性名詞の一番の見分けた方も前述したように語尾が -oの形で終わる名詞はほとんどが男性名詞です。
tavolo(ターヴォロ 机)
quadro(クアードロ 絵)
zucchero(ズッケロ 砂糖)
foglio(フォッリョ 紙)
●語尾が -eで終わる名詞
語尾が -eで終わる男性名詞もたくさん存在します。
sole(ソーレ 太陽)
tagliere(タリエーレ まな板)
cane(カーネ 犬)
miele(ミエーレ 蜂蜜)
●曜日・月
曜日と月は全て男性名詞となります。(日曜日をのぞく)
mercoledì(メルコレディ 水曜日)
venerdì(ヴェネルディ 金曜日)
gennaio(ジェンナーイオ 1月)
marzo(マルツォ 3月)
●山や川、湖などの名称
山や川、海などの名称は男性名詞としてあつかいます。
Po(ポー川)
Tirreno(ティレニア海)
Mediterraneo(地中海)
●外来語
外国から持ち込まれた単語は男性名詞となることが多いです。
sushi(スシ 寿司)
sport(スポルトゥ スポーツ)
bar(バル バール)
tsunami(ツナミ 津波)
ただしe-mailやchatなどは外来語ですが、それぞれイタリア語の女性名詞を置き換えた形として考えるため、女性名詞として扱われます。
e-mail←(posta elettronica)
chat←(chiacchierata)
●-oreで終わる名詞
語尾が -oreで終わる名詞は男性名詞となります。これを覚えておけば、-eで終わる名詞の攻略にも役に立つので覚えておきましょう!
fiore(フィオーレ 花)
rumore(ルモーレ 騒音)
motore(モトーレ モーター)
dolore(ドローレ 痛み)
●語尾が -aで終わる名詞
通常 -aで終わる名詞は女性名詞ですが、例外的に男性名詞のものもあります。
problema(プロブレーマ 問題)
pigiama(ピジャーマ パジャマ)
diploma(ディプローマ 高校卒業)
sistema(システーマ システム)
trauma(トラウマ 外傷)
schema(スケーマ 図)
dramma(ドランマ ドラマ)
語尾が変化することで男性名詞・女性名詞どちらにもなれる名詞
イタリア語の名詞の中には単語そのものはほとんど似ていても、語尾を変化させることで、男性名詞にも女性名詞にも変化するものがあります。
●語尾が -o(-e)か -aに変化する
語尾の母音を単純に -aで終わる形にするか -o(-e)で終わる形にするかで女性名詞・男性名詞が変わるものがあります。-o(-e)で終わる場合はその対象の性別が男性、-aで終わる場合はその対象の性別が女性を表します。
ragazzo-ragazza(ラガッツォ-ラガッツァ 子ども)
cameriere-cameriera(カメリエーレ-カメリエーラ ホールスタッフ)
amico-amica(アミーコ-アミーカ 友だち)
infermiere-infermiera(インフェルミエーレ-インフェルミエーラ 看護師)
●語尾が -eか-essaに変化する
語尾が -eで終わる男性名詞で、その語尾を -essaと変化することで女性名詞となる名詞があります。
studente-studentessa(ストゥデンテ-ストゥデンテッサ 生徒)
conte-contessa(コンテ-コンテッサ 伯爵)
professore-professoressa(プロフェッソーレ-プロフェッソレッサ 教授)
●語尾が -toreか-trice(-tora)に変化する
-toreで終わる名詞は主に職業を表す名詞を意味します。語尾の -toreを -triceもしくは -toraと変化させることによってその職業をする人の性別を表すことができます。
pittore-pittrice(ピットーレ-ピットリーチェ 画家)
attore-attrice(アットーレ-アットリーチェ 俳優・女優)
pastore-pastora(パストーレ-パストーラ 牧師)
また、-triceと-toraどちらに変化しても使える名詞もあります。しかし、現在日常で使われるのは -triceのケースが多いです。
traduttore-traduttrice(traduttora) 翻訳者
traditore-traditrice(traditora) 裏切者
●名詞の形は変わらずに冠詞で性別を表す名詞
語尾が変わらずに、名詞の前につく冠詞によって性別を表す名詞もあります。これに関しては不定冠詞・定冠詞の項目であらためて紹介します。
il cantante(イル カンタンテ 男性歌手)
la cantante(ラ カンタンテ 女性歌手)
いかがでしょうか。初めは難しいと感じるもしれませんが、たくさん単語を覚えていくうちに自然と「あ、これは男性名詞っぽいな」などと身についていくものです。
また、後でご紹介する不定冠詞、定冠詞を学習すれば、知らない単語でも男性名詞か女性名詞か見分けることができます。
イタリア語独学を助けるアイテム紹介
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