美しい海岸線として知られるアマルフィですが、実は手漉き紙の生産地としても有名なのです。
最高の紙として名高いアマルフィペーパーについての紹介です。
アマルフィの紙の歴史
アマルフィで紙の製造がはじまったのは12~13世紀頃、中国から製紙技術を学んだアラブ人によって持ち込まれたとされています。上質な木綿と生産に必要なエネルギーを確保できたアマルフィにとって製紙技術の伝来はとても有益なものとなりました。
アマルフィの紙はラテン語で"綿(bambax)"を意味する"カルタ バンバジーナ(charta bambagina)"とも呼ばれています。綿でできた紙は非常に軽かったため、フェデリーコ2世は司教の書記などにアマルフィの紙の使用を禁じ、羊皮紙の使用を命じたこともありました。
17世紀の後半にもなると、アマルフィの紙の質の良さは広く知れ渡り、アマルフィ周辺に十数もの製紙工場が存在していました。湧き水を利用するため、自然と洞窟の中や滝の近くに位置することの多かった製紙工場、そんな情緒溢れる景観もアマルフィの紙の価値を高める理由のひとつかもしれません。
アマルフィの紙の特徴
1. 木綿100%
アマルフィの紙の原料は木綿のみ。木材パルプなどを一切使用せずに、木綿を木製の木づちで長い時間をかけて叩き、ペースト状にします。その際の動力として使われていたのが水の力。湧き水の力を利用して風車を動かし、木綿を叩きます。仕上がったアマルフィの紙はしっとりとしていてやわらかく、何度も触りたくなる触り心地です。
2. 手漉き
ペースト状にされた木綿とアマルフィの水を混ぜてつくられた紙の生地を、特製のフィリグラーナ(filigrana)と呼ばれるフィルターで手漉きし、羊毛フェルトの上へと運ばれます。その後何枚にも重ねられた羊毛はプレス機の圧力によって水分の90%近くを失い、自然の風を利用した専用の場所にて乾燥されます。
3. 気品ある透かし
アマルフィの紙をよく見ると浮かびあがる透かし。さりげなく主張するその気品ある透かしはまさにアマルフィの紙の象徴で、最高品質の証でもあります。イタリアでも結婚式の招待状などに使用したりする機会の多いアマルフィの紙、大切な思い出を形にするのにぴったりですね。
アマルフィ紙の博物館
そんなアマルフィペーパーをつくる道具や製造工程を見学できる紙の博物館がアマルフィにあります。伝統的な手法でつくられるアマルフィペーパーを間近で見られ、手漉きの体験ができることも。
洞窟の中で昔と変わらない方法でつくられるアマルフィペーパーを目の当たりにし、歴史の長さと、それを絶やすことなく後世に残したいという職人の熱い想いが感じられます。ショップでは日本ではなかなか手の入らないアマルフィペーパーのレターセットなども買えます。
上質な紙に興味のある方にオススメです。
Museo della Carta
住所: Via delle Cartiere 23 - 84011 Amalfi (SA)
営業時間: 10:00 - 18:30まで
定休日: なし
サイト: https://www.museodellacarta.it/