イタリア人が飲むお酒といえば、フランスと並んでワインがパッと思い浮かぶ方が多いかもしれません。たしかに食事のお供にはワインが欠かせませんが、食事の前のアペリティーヴォにはカクテルが人気!
イタリアで人気のカクテルをチェックして、本場イタリアのバールでアペリティーヴォを楽しみましょう!
アペリティーヴォってなに?
そもそもアペリティーヴォとはなんでしょう。アペリティーヴォとはイタリアの食文化において欠かせないもので、夕食前におつまみをつまみながら、カクテルやビールなどのドリンクを楽しむ習慣のことをいいます。
イタリア人はみんなこのアペリティーヴォが大好き。17時ごろになると、街のバールにはアペリティーヴォをする人で賑わいます。ナポリでは特にルンゴマーレ沿いのバールなどは、眺めも良くて人気のアペリティーヴォスポットです。
アペリティーヴォの頼み方
アペリティーヴォの時間帯は基本的に17時~20時ごろで、その時間帯であればほとんどのバールでアペリティーヴォを楽しむことができます。メニューから好きなドリンクを注文すれば、それと一緒にナッツやオリーブ、ピッツェッタなどのおつまみも一緒に持ってきてくれることがほとんどです。
また、アペリティーヴォに力を入れているバールはおつまみをブッフェ形式で用意していることもよくあります。生ハムやサラミ、オリーブ、チーズ、ピクルス、フォカッチャなど、最高のおつまみがブッフェ形式で食べ放題!まさにイタリア・アペリティーヴォの醍醐味です!
ただし、おつまみの食べすぎには要注意。目の前にズラッと並ぶ料理に手を出しすぎると、このあとに控えている夕食が食べられなってしまうなんてことになってしまいがちです。
起源はなんと紀元前5年!
アペリティーヴォの語源はラテン語の"アペリティヴス(Aperitivus)"から来ていて、食欲を開ける(Aprire)という意味があります。
そのアペリティーヴォの起源はなんと紀元前5年にまで遡ります。ヒッポクラテスというギリシャの医学者は、食欲不振に悩む患者に薬草でアロマを加えた白ワインを与えていました。この白ワインの苦みがを症状を改善する効果があったとされています。
その後、現在のアペリティーヴォの形になったのは1700年後半のトリノ。トリノの一人のバリスタであったアントニオ・ベネデット・カルパーノ(Antonio Benedetto Carpano)によってニガヨモギやキナなどの薬草で風味付けしたワイン・ベルモット(Vermut)が発明されます。
独特の薬草の苦みを持ったベルモットは、当時のイタリア国王であったヴィットリオエマヌエーレ2世にとても気に入られ、王室御用達のドリンクとしても認められます。こうして食事の前に苦みの効いたドリンクを飲んで食欲を引き立てる文化が根付いたとされています。
イタリアで人気のカクテル9選!
ここではアペリティーヴォのシーンによく飲まれるドリンクを9種類ご紹介します。どれもイタリア人が大好きなカクテル、ドリンクでイタリアのバールでも目にする機会が多いはずです。
1スプリッツ Spritz
キング・オブ・アペリティーヴォ!まさにアペリティーヴォの王道ともいえるのがこのスプリッツ。
若者からダンディな紳士にセレブな奥様まで、みんなに大人気のアペリティーヴォの定番ドリンクです。ベースとなるのはヴェネト州のバルビエリ社が製造するアペロール(Aperol)。
アペロールは鮮やかなオレンジ色が特徴で、主原料にはオレンジの皮や薬草、根茎類などが使われているとされていまが、オリジナルレシピは公開されていません。オレンジの爽やかな甘さとビターなハーブの苦みがアペリティーヴォにぴったりです。
アペロール 60ml
プロセッコ(スパークリングワイン) 90ml
ソーダ 適量
オレンジ 一切れ
2モヒート Mojito
夏にもってこいの爽やかなアペリティーヴォドリンクといえばモヒート。
キューバのハバナ生まれのカクテルですが、日本やイタリアを含め世界中で親しまれています。イタリアではスプリッツの人気はダントツですが、女性やアルコールがそんなに得意でない人でも飲みやすいということで、最近ではモヒート人気が高まっています。
ライムの酸味とミントの爽やかさ、ブラウンシュガーとラムの甘みがこれ以上ないくらい相性抜群!見た目もグリーンが映えて、見ているだけでも涼しくなります!
ラム(ホワイト) 45ml
ライム(ジュース) 20ml
ブラウンシュガー ティースプーン2杯
ミント 適量
ソーダ 適量
3アメリカーノ Americano
1900年代初期から親しまれている定番ドリンクのアメリカーノ。
イタリアでつくられたカクテルでありながらアメリカーノという名がつけられたのは、当時アメリカで活躍したイタリア人プロボクサーのプリモ・カルネラへのオマージュと言われています。
そんなアメリカーノは2種類のべルモットをつかった苦みと、オレンジ、レモンでさっぱりと仕上げるイタリアらしいカクテルです。オリジナルではベルモット・ビターをつかいますが、最近ではもっぱらカンパリとベルモット・ロッソが用いられます。
カンパリ 30ml
ベルモット・ロッソ 30ml
炭酸水 適量
オレンジ 一切れ
レモンの皮
4ネグローニ Negroni
アメリカーノの発展系ドリンク、ネグローニ。
フィレンツェの貴族であったカミーロ・ネグローニ伯爵が通っていたリストランテのバールで、アメリカーノをアレンジしてジンを加えたドリンクを愛飲していたことに起源します。フィレンツェ貴族に飲まれていただけあって他のアペリティーヴォドリンクに比べて少し格式高い印象を受けます。
その後イタリア全土で今日に至るまで、アペリティーヴォの定番ドリンクです。ただ、アルコール度数が25度以上あるパンチの効いたカクテルなので要注意!
カンパリ30ml
ベルモット・ロッソ 30ml
ジン 30ml
オレンジ 一切れ
(レモンの皮)
5ガリバルディ Garibaldi
気軽につくれることで、多くの人に愛されるドリンク、ガリバルディ。
名前は19世紀にイタリア統一に大きく貢献したジュセッペ・ガリバルディに由来します。カンパリとフレッシュのオレンジ果汁のみというシンプルな材料ですが、さっぱりした味わいでみんな大好きなカクテルです。日本では「カンパリ・オレンジ」という風に呼ばれることも多いです。
伝統的にはシチリア産のオレンジとミラノのカンパリを使うことで、ガリバルディのイタリア統一という偉業を表しています。また、「赤シャツ隊」と呼ばれたガリバルディの軍隊にふさわしく、鮮やかな赤が美しいのも特徴です。
カンパリ 3/10
フレッシュオレンジ果汁 7/10
6モスコミュール Moscow mule
日本でも定番の人気カクテルモスコミュール。
銅製のマグカップで提供されることが多く、イタリアでも近年"インスタ映え"することから、若者の間で流行っています。
「モスクワのラバ」という意味があり、ラバに蹴飛ばされたように効いてくる、強いウォッカベースのカクテルであることを表します。
ウォッカ 45ml
ジンジャー・ビア 120ml
ライム(ジュース) 10ml
(ミント)
7ベリーニ Bellini
プロセッコと桃でつくられるドリンク、ベリーニ。
1948年ヴェネツィアで画家ジョヴァンニ・ベリーニの展覧会が行われた際に発案されたのがはじまりとされています。桃の甘い香りとキレイなピンク色はが特徴で、女性の間で人気のカクテルのひとつです。
実はイタリアのアペリティーヴォのシーンではそこまで登場しないのですが(アペリティーヴォには甘すぎるのかも)、アルコールが苦手な方でも美味しく飲めるドリンクです。
プロセッコ(スパークリングワイン) 適量
桃のピューレ 10ml
8スプマンテ Spumante
なんだかんだいってシンプルが一番、イタリアのスパークリングワインであるスプマンテ。
色々なアペリティーヴォのカクテルはあれど、シンプルにスパークリングワインを楽しむのもワイン大国イタリアならではの魅力です。スプマンテの中でもヴェネト州周辺でつくられるプロセッコは辛口でありながらフルーティな味わいとアロマティックな香りが特徴です。
また、日本ではそこまでお目にかからない微発泡タイプの白ワイン(Vino bianco frizzante)などを持っているお店も多く、白ワインとスパークリングのいいとこどりを楽しむこともできます!
スプマンテ(スパークリングワイン)
9ビール Birra
上品にカクテルでアペリティーヴォを楽しむのもいいですが、忘れてはいけないのがビールですよね。
イタリアはワインの消費量がとても多いので、ビールはそこまで飲まれてないイメージがあるかもしれませんが、もちろんイタリア人もビールは大好き。
夏の暑いときはカクテルよりも、よく冷えたビールがもってこいですよね。イタリアのビールはピルスナースタイルのビールが大半で、軽いタイプが好まれるため、日本人にとって親しみやすいのも特徴です。
ビール
ディナーの前にぜひアペリティーヴォを!
いかがでしょうか。アペリティーヴォのドリンクはフレッシュさと苦みがあるのが特徴です。他にもアレンジでカンパリとソーダでつくるカンパリソーダや、アペロールソーダなどもよく飲まれます。
イタリアでディナーに出かける前に、バールに寄ってぜひイタリア式アペリティーヴォを楽しんでみましょう!今では日本でも意外とお手軽にイタリアのリキュールが手に入ります。休日にお家でアペリティーヴォなんていうのも楽しそうですね!