ナポリのエスプレッソが別格といわれるほど美味しい9つの理由

イタリア人に「どこのエスプレッソが一番美味しい?」という質問をぶつければ、真っ先に挙がるのがナポリのエスプレッソです。

エスプレッソの発祥の地でもないナポリのエスプレッソがなぜ多くの人に「別格」とまで言わしめるほどなのでしょう。その秘密に迫ります。

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ナポリのエスプレッソ

ナポリの家庭ではクックメッラを使って1800年代初期から日常的にカフェが飲まれていました。人と話をするのが大好きなナポリ人にとってカフェは会話をするきっかけにもってこいの代物だったのです。

1900年代に入ってエスプレッソマシーンが開発され、本格的にバール・カフェテリアで気軽に手早くカフェが飲めるようになると、ナポリのカフェ文化は一層発展をみせます。KIMBOやMORENOなどに代表されるエスプレッソ用のカフェブランドもナポリには多く存在します。

そんなナポリのエスプレッソの美味しさの秘密をみていきましょう。

1. ブレンド

イタリア語でMiscera(ミシェーラ)と呼ばれるのがコーヒー豆のブレンドです。ナポリの有名カフェブランドのほとんどがブラジルや南アメリカ、アフリカなど、世界各地から厳選されたコーヒー豆を輸入しています。

コーヒー豆は大きく2つに分けられ、香り高いアロマとデリケートな味わいのアラビカ種と、風味が少なく強い苦みのあるロブスタ種があります。日本の缶コーヒーなどに使われるロブスタ種は、どこかアラビカ種に劣る印象を受けますが、美味しいエスプレッソにはロブスタ種も必要不可欠な存在です。

ロブスタ種はエスプレッソに力強さと独特の苦みを与えてくれます。また、エスプレッソの特徴であるクレマもこのロブスタ種なしではしっかりとしたクレマがつくられません。ベースとしてはアラビカ種70%、ロブスタ種30%といったところです。

コーヒー豆
世界各国から選りすぐりのコーヒー豆をブレンド
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2. ロースト

厳選されたコーヒー豆は、それぞれの産地別のコーヒー豆ごとにロースト(焙煎)されます。150-250℃の温度で約8-12分かけて焙煎されたナポリのエスプレッソ用のコーヒー豆は、一般的なエスプレッソのロースト目安いわれるシティローストやフルシティローストよりもさらに深煎りされたものです。

しっかりとローストされたコーヒー豆からはくっきりとした味わいとボディのあるエスプレッソができあがります。

焙煎
深煎りしたローストからコクのあるエスプレッソが生まれる

3. 硬水

エスプレッソに限らず、そもそもコーヒーの大部分を占めるのが水です。もちろんその水も重要で、ナポリの水はカルシウム、マグネシウムの含有量が高い硬水です。

この水に関しては賛否両論あるというか、香りを楽しむコーヒーには軟水の方が適しているという意見もあります。ただ、ナポリのエスプレッソのような濃くて、しっかりとしたボディが特徴のコーヒーには硬水の方が合っているのかもしれません。

硬水
ナポリ人いわく、「ナポリの水は世界で一番素晴らしい!」

4. 豆の挽き具合・タンピング

コーヒー豆のブレンドやローストに関してはカフェブランドに一任されている部分がありますが、この豆挽きからはバリスタの腕の見せ所です。

エスプレッソ用にコーヒー豆を挽く時には、極細挽きにするのが基本です。これは約25秒という短時間でカフェを抽出するため、できるだけお湯とカフェの接する面を広げてあげるためです。

また、適度な力でタンピングすることで、抽出の際にかかる圧力に耐えることができます。このカフェの挽き目とタンピングの力を調節しながら、最適な抽出を行うのがバリスタの力といえるでしょう。

タンピングが甘かったり挽き目が粗かったりすると、20秒もたたずに抽出できてしまい、水っぽいエスプレッソができてしまいます。その逆にタンピングがキツすぎたり、細かくしすぎたりすると、30秒経ってもポタポタと抽出が続き、焦げ臭いエスプレッソが出来上がってしまいます。

エスプレッソ豆
バリスタの挽き具合でエスプレッソの味が変わる
タンピング
無理に押し付けず適度な力がポイント

5. カフェの量・抽出量

エスプレッソにつかうカフェは約7g、抽出量は約25ccくらいが基本とされています。イタリアのどこにいっても大体このくらいだと思います。ただ、ナポリに限って言えば使うカフェは約8g、抽出量は20-25ccというとことが多いです。実際に知り合いのバリスタに聞いてみたところ、人によっては8g以上入れるバリスタもいるようです。

カフェの量を通常よりも多く、そして、あえて抽出量を抑えることでより濃厚で深みのあるエスプレッソに仕上げることができるのです。ナポリの人たちもみんなこのちょっと少な目で濃厚なエスプレッソが大好きなのです。

抽出
細ーくカフェの線が切れることなく落ちていれば上手く抽出できている証拠

6. 伝統のピストンレバー式

ナポリのバール・カフェテリアに入ってまず最初に気づくのが、エスプレッソマシンの違いです。最近ではほぼどこでもボタン一つで操作できるセミオートタイプのものばかりですが、ナポリのバールではほとんど全てといっていいくらいピストンレバー式のエスプレッソマシンを使用しています。

ナポリではこのレバー式エスプレッソマシンを1930年代に開発されてからずっと伝統的な技法を守って使用し続けています。レバー式はセミオートタイプに比べてより高い圧力をかけることができるため、(カフェを多く使用できるため)より濃いエスプレッソの抽出を可能にします。

また、レバーでカフェにお湯を供給し、浸水させる時間、抽出をやめるタイミングなどもバリスタ次第で全て調整することができるのも大きな特徴で、ナポリのバリスタはプロフェッショナルといわれる所以です。

レバー式マシン
バリスタの力量がとわれる伝統のレバー式エスプレッソマシン
画像引用: https://www.wega.it/

7. エスプレッソを向かい入れるための水

直接エスプレッソの味に左右することではありませんが、ナポリのバールではカフェが提供される前に必ず一杯の水(大概の場合ガス入りかガス無しか聞いてくれます)も入れてくれます。これはカフェを飲む前に口の中をリセットして、カフェをの香りと味わいを存分に楽しむための準備なのです。寿司でいうところのガリやお茶みたいなイメージでしょうか。

そのため、エスプレッソを飲んだ後に、水を飲んでしまってはせっかくの口に残ったカフェの後味やアロマが消えてしまって全く意味がありません!バリスタもプンプンです!

ナポリのカフェ
カフェの前に必ず出てくる水。ナポリ以外の地域では当たり前ではありません!

8. アツアツのデミタスカップ

最高の過程を経て抽出されたエスプレッソはアツアツのデミタスカップに注がれます。普通でしたらエスプレッソマシーンに備えついているウォーマーで温める程度ですが、ナポリでは湯立ったお湯の中でデミタスカップを温めるのです!

手で持てないくらいに温まったカップに注がれたエスプレッソは、香ばしいカフェの香りを失うことなくトロッとした独特の舌触りを保つことができるのです。

人によってはガラス製のカップであえて飲むというこだわりを持った人もいます。その人たちいわく、エスプレッソとクレマの色が見れて美しく(見た目で美味しさもわかる)、メガホン型になっているためカフェのアロマをより感じることができるとのこと。

ただ、クラシックなナポレターノに言わせれば、"冷めやすい"ガラス製のカップはナンセンス!といったところです。

ガラス製デミタスカップ
ガラス製のカップで飲む人も最近は増えてきました
デミタスカップ
ナポリのバールでは常時湯だったお湯の中でアツアツの状態が保たれています

9. ちょっと多めの砂糖

ナポリ流美味しいエスプレッソとはしっかりと「甘い」エスプレッソです。かなり濃厚なボディに仕上げられたナポリのカフェにはそれに釣り合うだけの砂糖も必要なのです。ティースプーンで山盛り1-2杯程度の砂糖を入れたらスプーンで何度もトローッとするまでよく混ぜます。

完成されたエスプレッソをクイッと飲み干せば、口いっぱいにカフェの濃厚なアロマの香りが広がります。

エスプレッソ砂糖
カフェをしっかり溶かすことでよりクリーミーなカフェに!

ナポリに来たらぜひエスプレッソを!

イタリアの中で一番美味しいエスプレッソを飲めるということは、もはや世界で一番美味しいエスプレッソはナポリで飲めるといっても過言ではありません!

しかも最高なエスプレッソでありながら、どこのバールもエスプレッソ一杯0.90ユーロから1.0ユーロという超お得な価格で飲むことができるのも嬉しいポイントの一つです。

それだけナポリ人の生活には欠かせないものということですね。ナポリにお越しの際はぜひ世界一のエスプレッソを味わってみてはいかがでしょうか。

日本でもナポリ本場のエスプレッソが味わいたい方へはナポリの有名コーヒーブランドであるキンボのコーヒー豆がおすすめです。日本のアマゾンでも購入することができます。今ではローストした豆で売っているものや、すでに挽いてあってマキネッタなどですぐに使えるタイプもあります。

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