イタリアワインやイタリア食材のパッケージにちょこっとついているマークが気になったことありませんか?「何かの認定マークっぽいけど、詳しい意味はわからない。。」なんて方も多いと思います。
実はこのマーク、イタリアの食材を選ぶ際の大切な目印なんです!そんなマークの種類や意味についてみていきましょう。
DOPとIGP
まず、イタリア食材についているマークには、DOPとIGPという2種類があります。
これらのマークは1992年EUによって定められた規則で、特定の地域で生産される製品を保護する目的でつくられました。当初はワインを除く食品、農産物がDOPやIGPとして定められましたが、2010年に変更が行われ、ワインの分野においてもDOP、IGPの認定マークが使われるようになりました。
DOP(原産地呼称保護)
DOPはイタリア語の"Denominazione di Origine Protetta(原産地呼称保護)"の略で、特定の地域で決められた伝統的な生産方法を厳守してつくられた食品、農産物であることを示します。
このマークを見ることで消費者は、その製品に使われている材料、つくられた場所、その方法までも全て知ることができます。また、厳しい基準をクリアした製品ということで高品質の製品であるということの証でもあるのです。
2019年の時点でイタリア国内のDOP認定された食品、農産物は167点に及びます。(ワインをのぞく)
IGP(地理表示保護)
IGPはイタリア語の"Indicazione Geografia Protetta(地理表示保護)"の略で、DOPと似たような意味合いを持つ認定マークですが、その製品の生産、加工、熟成のうち1つの工程が特定された地域で行われているものを示します。
DOPからすればその基準は若干緩くなりますが、それでもその地域特有の製品で、ある程度の高品質が保証されているということには違いありません。
2019年の時点でイタリア国内のIGP認定された食品、農産物は130点に及びます。(ワインをのぞく)
※ STGってなに?
DOPとIGP以外にも実はもう一つSTGという認定基準があります。このSTGはイタリア語で"Specialità Tradizionale Garantita(伝統的特産品保証)"の略で、昔ながらの伝統的製法を守って作られる食品、製品に対して認められるものです。
イタリアでは以前から認定されていたナポリピッツァ、モッツァレラチーズに加えて、今年(2020年)から新たにアマトリチャーナが認定されて、合計3つが認定されています。
ナポリの誇るナポリピッツァはその伝統的で、特殊な手法からこのSTGに認定され、コルニチョーネ(縁)の熱さや仕上がりの色、サイズ、香ばしさ、生地の熟成時間、焼き加減とやわらかさ、ピッツァに使われる材料など、細かく定められています。
DOCとDOCG、IGT
多くの種類があることで知られるイタリアワインですが、その格付けもワイン法によって分けられています。
以前のイタリアでは1963年に定められたワイン法によって、DOCG、DOC、IGT、VdTの4つのカテゴリーに分けられていました。現在では2008年のEUワイン法改正に伴って、2010年よりイタリアでもDOCGとDOCも合わせてDOPと総称する、IGTはIGPと名称変更される、VdtはVinoと名称変更されるという新たな規定が定められました。
実際には未だに旧呼称のDOCやDOCGと名乗ることも認められているため、特にDOCGのワインのラベルには"DOCG"のマークがついていることが多いです。
DOC(統制原産地呼称ワイン)
DOCはイタリア語の"Denominazione di Origine Controllata(統制原産地呼称ワイン)"の略で、イタリアの全土でDOCワインが生産されています。
ワイン法で決められた生産地、ブドウ品種、栽培方法、最低アルコール度数、熟成方法などを守ることで、DOCワインとして指定された名称を名乗ることができます。DOCに認定されていることで、消費者に対して一種の品質保証の役割も果たしています。
現在はDOP(原産地呼称)に分類されます。
DOCG(統制保証原産地呼称ワイン)
DOCGはイタリア語の"Denominazione di Origine Controllata e Garantita(統制保証原産地呼称ワイン)"の略で、イタリアワインの最上級クラスにあたります。
DOCGの申請の前に少なくとも5年間、DOCのカテゴリーに属していることが条件で、さらに農林省、商工会議所などにより、より厳しいチェックを通ったワインにのみDOCGが認定されます。
現在はDOP(原産地呼称)に分類されます。
IGT(地理表示保護ワイン)
IGTはイタリア語の"Indicazione Geografica Tipica(地理表示保護ワイン)"の略で、そのワインに使われるブドウのうち85パーセント以上がその土地で作られたものに認められています。
現在はIGPに分類されます。
VdT(テーブルワイン)
VdTはイタリア語の"Vino da Tavola(テーブルワイン)"の略で、特に既定のないその他のテーブルワインの総称を指します。
テーブルワインだから品質が劣っているかというとそうでもなく、逆に小さな生産者がひっそり作っているようなワインにはそれまた別の良さがあるというものです。
現在はシンプルにVinoと分類されます。
地域の特産品を守るイタリア、ヨーロッパ
このようにしてイタリアを含むヨーロッパ各国ではそれぞれの地域ならではの製品を保護して、偽物から守っています。
イタリアの食材やワインを選ぶ際に、DOPやIGPといった認定マークが入っているものを選べば、その製品の品質や製法が保証されているということで安心ですので、ひとつの目安にしてみてはいかがでしょうか?