ナポリといえば港町ならではの魚介を使った料理の数々。
ナポリの人たちにとっても魚介は特別で、お祝い事の際には必ずと言っていいほど魚介料理がふるまわれます。そんなナポリの魚介料理の中でも最も豪勢な料理のひとつがこのズッパ・ディ・コッツェ。ナポリでぜひ一度は食べたいメイン料理です。
ズッパ ディ コッツェってどんな料理?
ズッパ ディ コッツェとは直訳で「ムール貝のスープ」という意味ですが、ムール貝だけではなく、他にもたくさんの貝類や魚介が使われます。また、「スープ」と聞くと汁がメインのような気がしますが、あくまでメインはふんだんに使われたムール貝と魚介類です。
ナポリでは復活祭の前の木曜日にこのズッパ ディ コッツェを食べることが習慣となっています。この木曜日はジョヴェディ・サント(聖木曜日)として、イエスと弟子たちの最後の晩餐を記念する日とされていて、イエスは自ら弟子たちの足を洗い、奉仕の大切さを教えたといいます。
ズッパ ディ コッツェを通年メニューに載せているお店は意外と少なく、ちょうど3~5月頃の復活祭シーズン限定メニューとしているところも多いです。
ズッパ ディ コッツェのココが美味しい!
ナポリの魚介料理の代表格ともいえるズッパ ディ コッツェですが、その美味しさのポイントについてご紹介します。
1. ふんだんに使われた魚介類
美味しさの最大のポイントはなんといっても、ムール貝をはじめとする魚介類。
よく使われる魚介類にはムール貝の他、アサリやマテ貝、手長エビ、赤エビ、タコなどが使われ、特にタコはゆでた際のゆで汁を使うので欠かせない食材です。また、春が旬で地中海で採れる巻貝の一種、マルツェッリ(Maruzzielli)なども好んで使われます。
2. 魚介のスープを吸ったフレセッレ
お皿の一番下にはフレセッレ(Freselle)と呼ばれる二度焼きした堅く乾燥したパンを敷きます。このパンがタコのゆで汁や魚介から出る美味しいスープを吸って、まさに絶品!
ナポリの人たちは特にこのタコのゆで汁が大好きで、昔のナポリの町にはゆでたてのタコとゆで汁を提供する露店も多くありました。(残念ながら衛生上の理由でこうした昔ながらの露店も少なくなっています)
3. ピリッと辛いピカンテオイル
ズッパ ディ コッツェに欠かせない名脇役がこのピリッと辛いオイル。ナポリの方言で"O' Russ(オ・ルッス)"と呼ばれるこのオイルは"赤"という意味で、その名の通り鮮やかな赤い色と辛みが特徴です。
トマトペースト、赤唐辛子などで作られるこのオイルは魚介との相性抜群で、ピリッと香ばしい辛さが最高のアクセントとなります。
レシピ
素材の美味しさをそのまま味わうのがナポリ流。なので玉ねぎやミニトマトは加えず、いたってシンプルに仕上げるズッパ ディ コッツェをご紹介。
・ムール貝 1kg
・アサリ 200g
・マテ貝 200g
・タコ 500g
・エビ 4尾
・フレセッレ 4~5個
・イタリアンパセリ 適量
・ピカンテオイル 適量
①鍋にたっぷりの水と適量の塩、イタリアンパセリ(あれば)を入れて沸かします。沸いたら下処理をしたタコを足から何度かお湯に入れ、落として約20~30分ゆでていきます。
②タコはお好みでカットしましょう。イタリアではタコの生っぽい食感が嫌われるため、しっかりとゆでるのがポイントです。
③大きめのフライパンに少しの水を入れて沸騰させ、ムール貝を入れて、蓋をして火にかけます。火を入れすぎると身が縮むので気をつけましょう。
④別のフライパンにオリーブオイルと半分にカットしたニンニク、エビを入れて弱火にかけます。
⑤エビからいい香りがでてきたら、アサリ、マテ貝、カットしたタコ、タコのゆで汁を入れて数分蒸します。
⑥フレセッレにタコのゆで汁をくぐらせ、お皿に並べていきます。
⑦フレセッレの上にムール貝を盛り付け、その上に⑤他の魚介類を盛り付けていきます。仕上げにアツアツのタコのゆで汁、ピカンテオイルをかけて完成!
さいごに
ズッパ ディ コッツェは伝統的なナポリ料理ですが、お店によって色んなバリエーションを楽しめる料理でもあります。トマトベースに仕上げるところもありますし、フレセッレの代わりにパンを油で揚げたクロスティーニを使うところもあります。
本場ナポリに行ったら、自分のお気に入りのズッパ ディ コッツェを見つけてみてください!