【マテーラ】洞窟住居が街全体を埋め尽くすマテーラの観光情報!

バジリカータ州にある洞窟住居で有名な街、マテーラ(Matera)。
南イタリアの数ある観光スポットの中でも、この街の景観は人々の関心を多く惹きつけます。そんなマテーラの歴史や観光の見どころについてご紹介していきます。
マテーラってどんな街?

マテーラ(Matera)は、バジリカータ州の人口約6万人の都市で、イタリアの州の中でもマイナーなバジリカータ州に位置します。マテーラの特徴であるサッシ(Sassi)と呼ばれる洞窟住居は世界遺産にも登録され、たくさんの観光客が訪れます。
石灰岩の浸食によってできたマテーラのグラヴィナ渓谷に、3000以上もの洞窟住居が存在し、マテーラの旧市街を形成しています。マテーラの洞窟住居は8~13世紀にかけてイスラム勢力から逃げた修道僧たちが住み着いたとされていますが、旧石器時代の出土品も発見されていることから、それ以前にすでに人が住んでいたようです。
貧しい街からの脱却
今でこそ多くの観光客で賑わうマテーラですが、少し前までは小作農民を中心としたとても貧しい街でした。
20世紀に入って人口が増加すると、今までは家畜用につかっていた光の入らない洞窟や、湿気が溜まってカビの生えた洞窟なども住居としてつかわれるようになり、乳児の死亡率は50%に至るほどの劣悪な環境に。政府はマテーラの外に現在も多くの人が住む新市街をつくり、全てのマテーラの住人を移住させました。
廃墟となった旧市街のマテーラですが、その特殊な洞窟住居や岩窟教会などの希少さが見直され、1993年に「マテーラの洞窟住居」としてユネスコの世界遺産に登録されました。
世界遺産の登録を機に、街には観光客を相手にした飲食店やショップ、ホテルなどの宿泊施設がオープンし、街へのアクセスなどのインフラ整備も進められ、街は活気を取り戻しました。今ではわざわざこの街を目当てに遠くから観光客が訪れるほど人気の観光スポットとなっています。
マテーラの見どころ
マテーラの旧市街はサッシ地区と呼ばれ、マテーラ大聖堂のあるサッシ地区の中でも最も古いエリアのチヴィタの丘(Civita)、新市街を背にして大聖堂より左手をサッソ・バリサーノ地区(Sasso Barisano)、右手をサッソ・カヴェオーゾ地区(Sasso Caveoso)の3つに分けられます。
マテーラに数日滞在する場合は、全ての地区をゆっくり見学したり、グラヴィナ渓谷からマテーラの反対側に渡るチベターノ橋(Ponte Tibetano della Gravina)を通り、旧石器時代の洞窟跡・ムルジェッキア(Murgecchia)へトレッキング兼見学できます。
今回は半日~1日のマテーラ観光で絶対外せない見どころに絞ってご紹介していきます。

パスコリ広場からのパノラマ(Piazzetta Pascoli)

新市街から旧市街へのちょうど境にあるパスコリ広場(Piazzetta Pascoli)は、テラスのようになっていて、マテーラ旧市街のサッソ・カヴェオーゾ地区を一望できる絶景ポイントとして知られています。
ガイドブックなどの表紙にもよく登場するここからの景色はマテーラに来たらぜひ訪れたいですね。近くにはバジリカータ州にまつわる絵画や美術品を保管しているランフランキ邸(Museo Nazionale di Matera Sede Lanfranchi)もあります。
Belvedere Piazzetta Pascoli
住所: Piazzetta Pascoli, 75100 Matera MT
料金: 無料
洞窟住居(Casa Grotta)

マテーラの旧市街に来たら、ぜひ実際につかわれていた洞窟住居(Casa Grotta)を見学してみましょう。マテーラには内部を見学できる洞窟住居がいくつかあり、どこも典型的な庶民の住居を見学できます。
ソリタリオ通りにある洞窟住居や、カサルヌオヴォの洞窟住居などが有名ですが、写真はパスコリ広場から旧市街に入って程なくして着く洞窟住居(Antica Casa Grotta-SENZA NIDD)です。
洞窟住居の中に実際に入ることによって、この特徴的な空間をよりリアルに感じられます。入ってみると洞窟というだけあって光があまり入らなかったり、上下水道がないため雨水を利用していたり、鶏などが家の中で飼われていたことを考えると、衛生面でかなり大変だったことにも気づくことができます。
Casa Grotta
住所: Calata Domenico Ridola, 65, 75100 Matera MT
Vico Solitario, 11, 75100 Matera MT
Rione Casalnuovo, 307, 75100 Matera MT
など
料金: 約5ユーロ
マテーラ大聖堂(Basilica Cattedrale di Matera)

マテーラ旧市街の最も古いチヴィタの丘に建つのがこの街のドゥオーモ、マテーラ大聖堂(Basilica Cattedrale di Matera)です。
13世紀に建てられたこちらの大聖堂は、プーリア州でよく見られるロマネスク様式の外観でできていて、マテーラの街並みともマッチしています。教会内は17世紀にバロック様式に修復されてあり、外観とは違った煌びやかな美しさがあります。
ここからもマテーラの美しい洞窟住居の街並みを望むことができる絶景ポイントです。
Casa Basilica Cattedrale di Matera
住所: Piazza Duomo, 75100 Matera MT
時間: 9:00-18:30
料金: 無料
サンタ・マリア・ディ・イドゥリス教会(Chiesa Rupestre di Santa Maria di Idris)

数多くあるマテーラの教会の中でもおそらく一番面白いのがこの岩窟教会、サンタ・マリア・ディ・イドゥリス教会(Chiesa Rupestre di Santa Maria di Idris)です。
高台に位置するこの教会は12世紀に岩石を掘ってつくられた教会で、そのゴツゴツな外観はあまりにもインパクトがあります。実は2つの教会が合わさっていて、入口のサンタ・マリア・ディ・イドゥリス教会から奥に進むと、サンジョバンニインモンテッローネ教会(San Giovanni in Monterrone)へと続いています。
中には「聖母子像」や「聖二コラ」など状態の良いフレスコ画を見ることができ、日本語のパンフレットももらうことができます。
Chiesa Rupestre di Santa Maria di Idris
住所: Via Madonna dell'Idris, 75100 Matera MT
時間: 10:00-18:30
料金: 4ユーロ
サン・ピエトロ・カヴェオーゾ広場(Piazza San Pietro Caveoso)

サン・ピエトロ・カヴェオーゾ広場(Piazza San Pietro Caveoso)は旧市街で一番大きな広場で、広場にはサン・ピエトロ・カヴェオーゾ教会が面しています。教会は1218年に建てられた岩窟教会を17世紀頃に改修・増築したものです。
マテーラは映画007「No Time To Die」のロケ地として大々的につかわれてのですが、この広場でジェームズ・ボンドと悪の組織の刺客との激しいカーチェイスが行われました。映画を観てから訪れると感動は倍かもしれません!
この教会から出ているマドンナ通り(Via Madonna delle Virtù)や、その少し上からの広場の眺めがすごく素敵で、ついつい何枚もシャッターをきってしまう、写真スポットとなっています。
Piazza San Pietro Caveoso
住所: Piazza S. Pietro Caveoso, 75100 Matera MT
時間: 19:00
マテーラのおすすめ料理情報
マテーラの料理は農作物を主な産業としてきたということもあり、野菜や豆などの農作物をつかった料理が多いです。マテーラといえばパンが有名で、セモリナ粉をつかったマテーランのパンはIGPにも認定されています。
このパンをざっくりとちぎって、トマトやオリーブ、ルーコラやカルチョーフィ、ナスのグリルなどお好みの野菜とオリーブオイルで合わせたチャッレッダ(Cialledda)、というパンサラダがマテーラの名物となっています。
また、パプリカを乾燥させ、油でパリパリに揚げたペペローネ・クルスコ(Peperone Crusco)はそのままおつまみで食べたり、パスタの上に散らして食感を楽しみます。
他にもマテーラのピアット・ポーヴェロ(貧しい皿)の代表的ともいえる、色々な種類の豆を煮込んだクラピアータ(Crapiata)、子羊の内臓を網油や腸でまいてジャガイモやトマト、香草などとオーブンで焼き上げたカッツォマッロ(Cazzomarro)も伝統的なマテーラ料理です。

マテーラへの行き方
マテーラはバジリカータ州にあり、「陸の孤高」といった感じで残念ながらあまりアクセスの良い場所ではありません。(その難易度の高さがまたマテーラへの好奇心をかきたてます...よね?)
ここでは電車とバスのアクセスの仕方をご紹介します。
電車で行く場合
マテーラの鉄道駅はマテーラ中央駅(Matara Centrale)と次駅のマテーラ南駅(Matera Sud)があります。どちらもマテーラの新市街にあり、旧市街までは徒歩で約10~15分といったところです。どちらも距離はそこまで変わりません。
この鉄道駅はトレニタリア社ではなく、私鉄アップロ・ルカーネ社(FAL)の駅であるため注意が必要です。
始発駅はプーリの州都バーリのバーリ中央駅(Bari Centrale)で、所要時間は約1時間半~2時間くらい。行先が「Matera Sud(マテーラ南駅)」なら一本で行けますが、「Altamura(アルタムーラ)」で乗りかえるものもあるので、時間をよく確認しておきましょう。
バーリからマテーラへ
鉄道会社: Ferroviea Appulo Lucane社(FAL社)
料金: 片道6ユーロ
所要時間: 約1時間半~2時間
運行間隔: 約1~2時間に一本
※日曜・祝日は本数が減ったり時間が変更したりするので注意
FAL社の公式ホームページ→https://ferrovieappulolucane.it/
バスで行く場合
どちらかというとおすすめなのがこちらのバスでのアクセス。というのも、バスの場合バーリではなくても、ナポリやローマといった大きな都市から直接アクセスすることができるからです。もちろんバーリからもマテーラ行きのバスが出ていて、運行会社は鉄道と同じアップロ・ルカーネ社(FAL)です。
ナポリやローマなどの都市からマテーラへ来る場合は、Flixbus社やMarino社、Marozzi社などのバス会社で時刻を調べて予約するのがいいでしょう。
バス停は鉄道のマテーラ中央駅(Matera Centrale)の近くだったり、もう少し離れたところのパターンもバス会社によってはあります。いずれにしても、旧市街地までは距離があるので、大きな荷物がある場合などはタクシーをバス停からタクシーをつかってしまってもいいかもしれません。
バスでマテーラへ
バス会社:
Flixbus社: https://www.flixbus.it/
Marino社: https://marinobus.it/
Marozzi社: https://www.marozzivt.it/
Ferroviea Appulo Lucane社(FAL社): https://ferrovieappulolucane.it/
各バス会社のホームページから検索して時刻を調べましょう。