イタリアのなかでもピッツァの本場として知られ、多くの人の心を魅了するナポリのピッツァ。
ナポリ市内にはそれはもう数多くのピッツェリアがあり、どこのお店もレベルの高いナポリピッツァを提供しています。
今回は僕がナポリのピッツェリアで働いていた時のナポリ人ピッツァ職人や、日本のピッツェリアで本場の味を提供しているピッツァ職人の方たちからも人気のおすすめピッツェリアを12店舗厳選してご紹介します!
1Di Matteo
ナポリピッツァの有名店がひしめく歴史地区のトリブナーレ通りにあるピッツェリアのなかでも、常に人が途絶えない名店がディ・マッテオ(Di Matteo)です。1936年にオープンした老舗で、現在のオーナー・サルヴァトーレ氏で第4代に至ります。
一日に何百枚と焼き上げられるディ・マッテオのピッツァは、昔からの伝統的な手法で作られ、まさにナポリピッツァの王道。冷蔵庫などを使用せず、常温で温度管理された生地はやわらかくて、あっという間にペロリと平らげてしまいます。ディ・マッテオは揚げ物が美味しいことでも有名で、特にベシャメルソースとボロネーゼソースなどをブカティーニで和えて揚げたフリッタティーネは衝撃の美味しさです。
Antica Pizzeria Di Matteo
住所: Via dei Tribunali, 94, 80138 Napoli NA
営業時間: 10:00~23:00頃まで
定休日: 日曜日
サイト: https://anticapizzeriadimatteo.it/en/home-english/
2Sorbillo
同じくトリブナーレ通りに本店を構えるソルビッロ(Sorbillo)はここ数年でますます勢いを増している大人気のピッツェリアです。本店以外にも市内に揚げピッツァ専門店や海沿いにもう1店舗展開していて、ローマ、ミラノ、トリノ、ジェノヴァなどのイタリア各都市、マイアミ、イビザ、東京などへの世界進出も果たしています。
大きく延ばされたピッツァの上には細かくカットされたモッツァレラチーズがたっぷりとのっていて、トマトソースの酸味と相性抜群です。あまり丸い形にこだわらず豪快に延ばされた生地は良い意味でムラがあり、より生地の食感を引き立たせます。本店は予約できないので、店の前で名前を書いて、順番が来たら呼ばれるという方式です。待つときは1時間以上待つこともありますが、一食の価値ありです。
Antica Pizzeria Gino Sorbillo
住所: Via dei Tribunali, 32, 80138 Napoli NA
営業時間: 12:00~23:30頃まで
定休日: なし(日曜はランチ営業のみ)
サイト: https://www.sorbillo.it/
3Da Michele
おそらく世界的に最も有名ピッツェリアといっても過言ではないのがダ・ミケーレ(Da Michele)。メニューはマルゲリータとマリナーラを中心とした数種類のみで、席は相席になることがほとんどです。そんな昔ながらのスタイルのダ・ミケーレですが、実は結構好き嫌いが分かれます。
24時間以上という長い発酵・熟成を経た生地を高温の薪窯でサッと焼いたピッツァ(他のピッツェリアと比べても焼き時間は短め)は、やわらかな生地と適度なこげ感があり香りがとてもいいです。ただ、しっかり焼いた生地が好きな人は総じてあまり好まない人が多い印象です。お皿からはみ出すほど大きなピッツァはインパクト大!
こちらも行列必至のお店ですが、お店を閉めずにオープンしているため、18~19時ごろの早いディナーの時間帯が狙い目です。また、ヴォメロ地区のメダッリャドーロ広場にはミケーレの親戚(孫)が経営するコンドゥッロ(Condurro)もあります。こちらも孫なだけあってピッツァは似てます。
Antica Pizzeria Da Michele
住所: Via Cesare Sersale, 1, 80139 Napoli NA
営業時間: 11:00~23:00頃まで
定休日: なし
サイト: http://www.damichele.net/
4Trianon
ダ・ミケーレの向かいにあるお店で、立地的にもダ・ミケーレに待つのに疲れた人たちが流れるお店に思えますが1923年創業の立派な老舗がトリアノン(Trianon)です。
トリアノンのピッツァはクラシックなナポリピッツァで、丁寧に均一に手延ばしされたピッツァはきれいな丸い形をしていて、コルニチョーネと呼ばれる縁も低いです。最近のナポリピッツァのイメージは縁がモコっと膨らんでいるものが多いですが、伝統的なのはこのトリアノンのような高すぎないコルニチョーネをしています。
また焼成はかなりしっかりされていて、香ばしくじっくりと焼き上げられた生地は水分が飛んで歯切れのいいピッツァとなっています。ダ・ミケーレのピッツァの正反対ともいえるピッツァが特徴ですが、個人的にはトリアノンのピッツァはとても好きです。
Pizzeria Trianon
住所: Via Pietro Colletta, 44, 80139 Napoli NA
営業時間: 11:00~15:30、18:30~23:30頃まで
定休日: なし
サイト: https://www.pizzeriatrianon.it/
5Starita
日本のピッツァ職人の方からも支持が多く、修行された方も多くいる名店がマテルデイにある1906年創業のスタリータ(Starita)です。オーナーのアントニオ氏はいつも親切で、分厚い手からは想像できないような繊細なピッツァをつくりあげます。
スタリータのピッツァはとても軽く、生地とトッピングのバランスも抜群。ピッツァ生地をスティック状にカットしてルーコラとダッテリーニ種の小さく濃いミニトマトと和えたアンジョレッティ(Angioletti)や揚げたピッツァにトマソース、モッツァレラ、パルミジャーノチーズなどをのせ、最後に薪窯でカリッと焼き上げるモンタナーラ(Montanara)はスタリータの定番です。
Pizzeria Starita a Materdei
住所: Via Materdei, 27/28, 80136 Napoli NA
営業時間: 12:00~15:30、19:00~23:30頃まで
定休日: 月曜日
サイト: https://pizzeriestarita.it/
6Pellone
ナポリ中央駅付近でナポリピッツァを食べるならおすすめなのがペッローネ(Pellone)。1960年にオープンしたペッローネは、今も尚忠実に伝統的なピッツァを守っている硬派なピッツェリアです。ピッツァ職人たちも男らしい職人肌の人たちが多く、まさにナポリのピッツァイオーロの鏡です。
驚くのはその大きさ!直径40cmはあるんじゃないかというほど大きく、ただでさえ大きいナポリのピッツァの中でも僕が出会った中で一番大きなナポリピッツァだと思います。お皿がはみ出るどこか全くお皿が見えないほどのサイズながらも熟練の技で均一に延ばされ、しっかりと焼き上げられたピッツァはお腹にたまることなく平らげてしまいます。
Pizzeria Pellone
住所: Via Nazionale, 93, 80143 Napoli NA
営業時間: 12:00~16:00、18:30~00:00頃まで
定休日: 日曜日
サイト: https://www.pellonepizzeria.it/
7Da Attilio
魚屋や八百屋など小さなお店が並ぶナポリのメルカート通りであるピーニャセッカにある老舗のピッツェリアがダ・アッティリオ(Da Attilio)。大衆的な雰囲気漂る店内はこじんまりとしながらも多くのお客さんで賑わいます。
現地のピッツァ職人からも評判の高いダ・アッティリオのピッツァは、生地の発酵状態、延ばし、トッピング、焼き加減のどれをとってもバランスの良いピッツァが特徴です。ダ・アッティリオのピッツァは胃もたれせず、昔からの丁寧な仕事が垣間見えます。
今でこそ他のお店でも見るようになりましたが、星形のピッツァはダ・アッティリオのオリジナル。星の先がリピエノになっていて、リコッタチーズやナポリ野菜のコントルノなどが中に入っています。色々な味を一度に食べれるのも魅力的ですよね。
Pizzeria Da Attilio
住所: Via Pignasecca, 17, 80134 Napoli NA
営業時間: 12:00~15:30、19:00~23:30頃まで
定休日: 日曜日
サイト: https://www.pizzeriadaattilio.com/
8La Notizia
中心部からは少し離れたヴォメロ地区にあるラ・ノティツィア(La Notizia)は、ピッツァ界のマエストロとしても知られるエンツォ・コッチャ氏が手掛けるピッツェリアで、立地的にも観光客より地元のお客さんが多い印象です。
黄金色に均一に焼き上げられたピッツァからは、生地の適切な温度管理と、窯全体の熱で焼き上げられた様子が伺えます。焼き上がりはサクッとした心地よい食感、食べ進むにつれて水分のあるモチっとした食感に変化していき、あっという間に最後のひと口まで食べてしまう最高のピッツァです。(トップ画像のピッツァもこのラ・ノティツィアのピッツァです)
Pizzaria La Notizia 53
住所: Via Michelangelo da Caravaggio, 53, 80126 Napoli NA
営業時間: 19:00~01:00頃まで
定休日: 月曜日
サイト: http://www.pizzarialanotizia.com/
950 kalo'
2014年にオープンして以来、お客さんの足が途絶えない人気店のチンクアンタ・カロ(50 Kalo')。チーロ・サルヴォ氏によるピッツァは水分量が従来の伝統的なピッツァに比べて高く、より消化の良いピッツァを掲げています。しっかりとこんがり焼くというよりは、水分を飛ばしすぎずに焼き上げるイメージが強いのもこのお店の特徴です。ピッツァに使われるトッピングも厳選された食材を使用しています。
店名の「50」はナポリに言い伝わる数字をつかった占いの番号で"パン"を意味し、「Kalo'」は古代ギリシャ語に起源するピッツァ職人の間で使われる隠語で"良いもの"を表します。チーロ氏のピッツァ生地に対するこだわりが感じられる店名ですね。
50 Kalò
住所: Piazza Sannazaro, 201/c, 80121 Napoli NA
営業時間: 12:00~16:30、18:00~00:30頃まで
定休日: なし
サイト: https://www.50kalò.it/
10Concettina ai Tre Santi
ナポリのコアでディープな下町エリアとして知られるサニタ地区に位置するコンチェッティーナ・アイ・トレサンティ(Concettina ai Tre Santi)はミシュランガイドにも掲載されている注目のピッツェリアです。
1951年に開業し、地元の人から慕われていたピッツェリアを4代目のチーロ・オリーヴァ氏がモダンなスタイルへと改装し、新たなピッツェリアのスタイルを誕生させました。お店の名前はチーロ氏の曾祖母のコンチェッティーナさんの小さな家の前に3人の聖人を奉る礼拝堂があったことにちなんでいます。
グルメなピッツァの先駆けともいえるこのお店のピッツァは、厳選された食材と軽い食感のピッツァが味わえます。ピッツェリアにしては珍しいデグスタツィオーネ(degustazione)と呼ばれるコースも用意されていて、ピッツァの新しい食材との組み合わせや調理法を用いた12皿のコースで、ピッツァの奥深さに感銘します。
Pizzeria Concettina ai Tre Sant
住所: Via Arena della Sanità, 7 Bis, 80137 Napoli NA
営業時間: 10:30~23:30頃まで
定休日: なし
サイト: https://www.pizzeriaoliva.it/
11Vincenzo Capuano
最近のナポリピッツァのトレンドといえば縁のコルニチョーネがプクッと盛り上がったピッツァで、伝統的なナポリピッツァと区別してピッツァ・コンテンポラーネア(Pizza Contemporanea)と呼ばれています。そんなピッツァ・コンテンポラーネアの先駆者的存在なのがヴィンツェンツォ・カプアーノ(Vincenzo Capuano)です。
ヴィンツェンツォのピッツァの最大の特徴は80%を超える加水率。伝統的なピッツァなら耐えきれないほどの水の量を、ビガ種をつかった手法により可能にしました。しっかりと形成されたグルテンは生地内の空気を逃がさず、ふわふわのコルニチョーネに仕上げます。
Pizzeria Vincenzo Capuano
住所: Piazza Vittoria, 8, 80121 Napoli NA
営業時間: 12:00~16:00、19:00~00:00頃まで
定休日: なし
サイト: http://www.capvin.com/
12Masardona
ナポリの揚げ物屋の名店として知られるマサルドーナ(Masardona)は1945年から続く老舗で、ナポリ風コロッケやアランチーニ、ゼッポレなどのナポリっ子が大好きな美味しいフリットが低価格で食べられます。
そんなマサルドーナの揚げピッツァは高温で揚げられたザクっとした食感の生地とリコッタ、プロヴォラ、トマトソース、黒コショウ、チコリと呼ばれる豚バラ肉が絶妙です。まさにナポリの庶民の味といったマサルドーナの揚げピッツァは、一度食べたらやみつきになりそう。
以前はメルカート広場近くの本店のみでしたが、数年前にルンゴマーレ近くのキアイアエリアに小さな2号店を出店し、より身近に味わえるようになりました。
La Masardona
住所: Via Giulio Cesare Capaccio, 27, 80142 Napoli NA
営業時間: 07:00~16:00頃まで
定休日: 日曜日
サイト: https://www.facebook.com/lamasardona/?ref=bookmarks
自分好みのピッツァを見つけよう!
今回紹介したピッツェリアはほんの一部で、まだまだナポリには美味しいピッツェリアが山ほどあります。
ピッツァというのはそれぞれの人の好みな部分がとても大きく、ナポリの人たちは各々自分のお気に入りのピッツェリアがあります。有名店だからといって自分に合うわけではないですし、たまたま入った名もないようなお店がすごく気に入ることもよくあります。
ぜひ色々なお店をまわって自分好みのピッツァを見つけてみてください!