日本の冬の定番料理といえば、おでんやお鍋といったアツアツの料理がすぐに思い浮かびますね。ナポリでも、冬になると食べたくなるアツアツの定番パスタがあります。それが今回ご紹介する「パスタ エ パターテ」です。
ナポレターノがみんな大好きなこのパスタで寒い冬を乗り切りましょう!
パスタ エ パターテってどんなパスタ?
パスタ エ パターテ(Pasta e Patate)とは訳すと「パスタとじゃがいも」という意味で、シンプルにじゃがいもを使ったパスタということになります。
このパスタがナポリで食べられようになったのは17世紀ごろで、アメリカ大陸の発見によりトマトやじゃがいもがすでに食材としてつかわれ、庶民でも手に入りやすい時代でした。
庶民のパスタ
パスタ エ パターテはまさに大衆パスタの代表ともいえる存在で、パスタとじゃがいもという炭水化物を合わせる発想も、なるべく腹持ちがよく、満足感を得るためでした。
また、このパスタ エ パターテにはコクを出すために削れなくなったパルミジャーノチーズの皮部分を使ったり、パスタミスタと呼ばれる、様々な形状のショートパスタを使うのが伝統的ですが、これも半端に余った食材やパスタを無駄にしないでつかうための工夫だったのです。
今でこそパンチェッタやプロヴォラチーズなどが入りリッチ感がプラスされましたが、もともとは貧しいナポリ庶民のパスタでした。
パスタ エ パターテのレシピ
ナポリの家庭やトラットリアで大人気のパスタ エ パターテですが、ただのじゃがいもを使ったパスタとはひと味違います。きっと食べた瞬間「じゃがいもってこんなに美味しいの!?」とびっくりすること間違いありません!
ポイントはパスタをお湯でゆでてからソースに加えるという従来の方法ではなく、じゃがいもなどと一緒にパスタを煮込んでいくこと。こうすることでパスタのでんぷん質がソースに溶け、くずれたじゃがいもと合わさって濃度のあるソースに仕上がります。
本場のナポリではパスタ エ パターテの仕上がりの良さを表すのに"Azzeccata(アッツェッカータ)"という言葉が使われます。「くっついた、まとまった」といった意味を持っていて、水分が適度にとんで濃度のあるソース、お皿を動かしても"くっついて"離れない仕上がりの状態がベストとされています。
・パスタミスタ 160g
・玉ねぎ 1/2個
・にんじん 1/2本
・セロリ 1/2本
・じゃがいも 2個
・パンチェッタ 50g
・ミニトマト 2~3個
・プロヴォラチーズ 100g(なければモッツァレラチーズなどでも代用可)
~仕上げ用~
・パルミジャーノ 適量
・黒胡椒 適量
①じゃがいもは1cm角にカットし、水にさらしておきます。
②玉ねぎ、にんじん、セロリはみじん切りにカット。パンチェッタも小さくカットしておきます。(ベーコンでもOK)
③プロヴォラチーズも小さめのダイス状にカットします。プロヴォラチーズは燻製のモッツァレラチーズですが、普通のモッツァレラでもいいですし、スカモルツァなどのお好みのチーズ(セミハードタイプ)で代用できます。
④鍋にオリーブオイル(ラードがあればラードも加えると風味が増します)を入れ、まずはパンチェッタを弱火で炒めて旨味を引き出します。
⑤パンチェッタから油がでてカリッとしてきたら、玉ねぎ、にんじん、セロリを加えて炒めていきます。
⑥香味野菜が色づいてきたらじゃがいもと半分にカットしたミニトマトを加えて全体となじませ、すぐに水を約500ml加えて約10分ほど中火で煮込んでいきます。
⑦パスタ エ パターテに欠かせないパスタミスタ。見つからない場合はスパゲッティをポキポキ小さく折って使いましょう。
⑧じゃがいもに火が通ったら、鍋にパスタミスタを投入し、煮込んでいきます。ここで塩も加えてある程度の味をつけておきます。
※伝統的なレシピはここでパルミジャーノの皮も投入!チーズのコクがソースに溶け出します。
⑨煮込んでいると水分が少なくなり、鍋底にくっつきそうになるので、その都度水を加えます。この際に木べらを使ってしっかり混ぜてあげることで、じゃがいもがくずれ、ソースと一体になっていきます。
⑩パスタがちょうどいい固さに仕上がったらあとは濃度を調節するだけ。ゆるすぎず、詰まりすぎない状態でプロヴォラチーズを入れ、火にかけながら練りこむようにまぜていきます。
⑪お皿に平たく盛り付けて完成!お好みで仕上げにパルミジャーノと黒胡椒をどうぞ。
さいごに
パスタとソースを一緒に煮込むなんて、最初に知った時はとてもびっくりしました。シンプルな材料ながらここまで美味しいのかと感激したのを今でも覚えています。お鍋ひとつでできてしまうのも嬉しいですよね!笑
大人数で食事する際にもピッタリのこのパスタ、ぜひお試しください!
以下に日本で手に入るパスタ エ パターテのイタリア食材の例を載せさせていただきます。