【サンセヴェーロ礼拝堂】世界中を魅了してやまないクリストヴェラートと謎の人体模型 -Museo Cappella Sansevero-

数あるナポリの博物館の中でもおそらく世界的に最も有名なのが、サンセヴェーロ礼拝堂博物館です。

館内にあるジュセッペ・サンマルティーノによるクリストヴェラート(ヴェールに包まれたキリスト)は世界最高峰の彫刻として知られています。

スポンサーリンク

サンセヴェーロ礼拝堂博物館の成り立ち

サンセヴェーロ礼拝堂博物館(は、もともと16世紀後半にサンセヴェーロ家によって建てられた礼拝堂でした。その後サンセヴェーロ公ライモンド・ディ・サングロ(Raimando di Sangro)の発案によりサンセヴェーロ家の栄光と繁栄の象徴として多くの芸術作品がつくられ、現代でもその子孫がこの美術館を運営しています。

ライマンド・サングロ
ライマンド・ディ・サングロ
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ

歴史地区エリアのサンドメニコ広場から細い道を入っていったところにあるこの小さな博物館には、その小ささとは反して、世界中から多くの観光客がサンセヴェーロ家のコレクションを一目見ようと押し寄せ、多くの人で行列ができることもあります。



礼拝堂博物館とチケット売り場は別々の建物になっているので、チケット売り場でまずチケットを買ってから博物館の入口に並びましょう。
(あらかじめオンラインでチケットを購入することも可能です→公式ページへ)

代表的な作品

サンセヴェーロ礼拝堂博物館はこじんまりとした博物館ですが、館内には素晴らしい彫刻作品などがびっしりと飾られています。

時を忘れて見入ってしまう作品ばかりですが、その中でも代表的な作品をいくつかご紹介します。

クリストヴェラート ヴェールに包まれたキリスト

クリストヴェラート
彫刻の最高傑作 クリストヴェラート
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ

この美術館の一番の見どころはなんといっても1752年にジュセッペ・サンマルティーノ(Giuseppe Sanmartino)によってつくられてたクリストヴェラート(Cristo Velato)です。

世界的に最高傑作の一つと称されるこの彫刻は、まるで透明かのようにキリストを覆うヴェール、その下にみえるキリストのまさに息を引き取る瞬間のような表情、十字架にかけられた際の釘のあとやいばらの冠に現れる苦しみなどが見事に表現されています。

柔らかく彫られたヴェールのラインと、その下に眠るキリストの冷えて硬くなった肉体は一つの固い大理石から彫られたとは信じがたいほど精巧にできていて、時間を忘れてこの作品に見入ってしまうでしょう。

かの有名なイタリア人彫刻家のアントニオ・カノーヴァ(Antonio Canova)はジュセッペ・サンマルティーノの彫刻に大変感銘し、"このような素晴らしい傑作を掘れる彫刻家になれるのならば、喜んで人生の10年を差し出そう"と言わしめたほどです。

また、余りにもリアリティのあるヴェールは多くの議論をよび、キリストの彫刻の上に本物のヴェールをかけ、錬金術師でもあったライモンドの魔法により大理石化したという伝説的な説が信じられる事態にもなりました。

クリストヴェラート
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ
クリストヴェラート
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ

忠実に再現された男女の人体模型

もうひとつの代表的な作品として1763年頃、ライモンドの監修のもとシチリアの医師ジュセッペ・サレルノ(Giuseppe Salerno)によってかたちにされた金属をベースに精巧にできた男女の人体模型(Macchine Anatomiche)があります。

このような精巧な血管の仕組みは当時の解剖学では解明されておらず、一から金属やその他の材料をつかって再現するのは不可能であったとされ、男女の死体に水銀をベースにした薬品を注入して金属化したとされています。しかしライモンドの異常なまでの人体の構造への興味から、彼の召使いを殺して、何らかの方法で動静脈を防腐処理させたという説も語り継がれています。

人体模型
男の人体模型 "Macchine anatomiche uomo"
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ
人体模型
女の人体模型 "Macchine anatomiche donna"
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ

その他の彫刻

礼拝堂の中心にはクリストヴェラートが位置し、そのまわりにも10体に及ぶ"美徳の彫刻"をはじめとする多くの彫刻や作品が展示されています。

彫刻家アントニオ・コッラディーニ(Antonio Corradini)による、ライモンドの誕生後わずか1年未満でこの世を去った彼の純粋な母に捧げられた"Pudicizia Velata"や、彫刻家フランチェスコ・クエイローロ(Francesco Queirolo)による、妻を失い墜落していった父への更生への願いが込められた"Disinganno"などがあります。

また、ライモンドの望みでフランチェスコ・チェレブラーノ(Francesco Celebrano)によってつくられた、知識の探求とその道のりで訪れる数々の選択と困難を表したラビリンス模様の床も展示されています。(1889年の浸水の影響でほぼ崩壊、その後サンセヴェーロ家の家紋の色である黄色と青色を用い床が修復されました。展示されているのはオリジナルの床で、もともと青と白の色使いでした)。

その他、ライモンドを含めたサンセヴェーロ家の墓もみることができます。

彫刻
フランチェスコ・クエイローロ作 "Disinganno"
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ
彫刻
アントニオ・コッラディーニ作 "pudicizia"
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ
彫刻
フォルトゥナート・オネッリ作 "zelo della religione"
画像引用:サンセヴェーロ礼拝堂博物館公式ページ

Museo Cappella Sansevero

住所: Via Francesco de Sanctis, 19/21, 80134 Napoli NA
最寄り駅: ダンテ駅(dante, linea1)から徒歩約10分
営業時間: 9:00~19:00 (土曜日は20:30まで)
定休日: 火曜日
料金: 8ユーロ(オンライン予約は+2ユーロ)
公式サイト: https://www.museosansevero.it

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事