南イタリア、サレルノ県南部一帯に位置するチレント地方。チレントは豊かな自然が残る地域で、地中海ダイエットと呼ばれるこの地域の食事は、魚類や野菜を中心とした健康的なものとして世界的に知られています。
そんなチレントを代表する特産品が白イチジク(Fichi bianchi)です。今で尚、昔ながらの収穫方法と製造方法を守りながらつくられるチレントの白イチジクは多くの人に愛されています。
チレント産白イチジクの特徴
チレントで栽培されている白イチジクはDOP(原産地呼称保護)にも指定されていて、皮が薄く種が少なく、小ぶりながらもしっかりと身が詰まっているのが特徴です。ドッタート種と呼ばれる品種で、糖度も高く、そのまま食べてももちろん美味しいのですが、天日干しにすることでその甘味はさらに凝縮されます。チレント地方では天日干しにすることで長い期間白イチジクを保存し、食べられるように工夫していたんですね。
皮付きのまま干す場合はしっかりと熟れた白イチジクをつかい、皮を剥いて干す場合はその一歩手前で収穫されます。皮を剥かれたものは干した後に白っぽい仕上がりとなり、現地の方言でモンナーティ(monnati)と呼ばれます。このモンナーティは皮付きに比べて手間もかかり、やわらかく仕上がるため、より特別な存在として親しまれています。
チレント産の干しイチジクは色々なバリエーションがあることで知られていて、干したイチジクを割き、中にくるみやアーモンド、ヘーゼルナッツ、柑橘類の皮やハーブなどを詰めたものなどがよくつくられます。また、イチジクの葉で同じく干しイチジクやナッツ類を包みこんで蒸したもの、チョコレートをかけたものなども人気です。
クリスマスに欠かせない干しイチジク
イタリアのクリスマスには干しイチジクをはじめとするドライフルーツやくるみ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツなどのナッツ類が欠かせません。親戚が集まるクリスマスにはみんなでこうした干しイチジクやナッツなどをおつまみにゲームをしたりして盛り上がります。
干しイチジクをみるとなんだか幸せな気分になるのはそんなクリスマスのイメージからかもしれません。冬のナポリやサレルノなどの南イタリアへお越しの際はぜひスーパーや市場などで探してみてください。
日本ではイタリア産の干しイチジクはなかなか見つからないのでトルコ産のものが値段的にもオススメです。