ナポリ中央駅から中心地とは反対の東側に行くとナポリの光景とはかけはなれた、現代的な建物が並ぶオフィス街エリア、チェントロディレツィオナーレ(Centro Direzionale)があります。
このオフィス街はチェントロディレツィオナーレと呼ばれ、高層ビルの中に多くの会社が拠点を置いています。
設計は日本人建築家 丹下健三
一瞬、あれここ新宿?と思ってしまうほど私たち日本人に見慣れた景色が広がるこのエリアですが、それもそのはず設計に携わったのは世界に誇る日本人の建築家、丹下健三氏です。
第二次世界大戦後の日本復興の第一線で活躍し、広島平和記念資料館や代々木体育館、東京都庁、などに代表される数多くの建築設計に携わった彼は、東京オリンピックを期に海外からもそのレベルの高さを認められるようになります。
ナポリ新都心計画は丹下氏に一任
ナポリでは1960年代ごろから駅周辺の不要になった工業地帯を拡大・整備し、オフィス街を建設する計画が検討されました。その後幾つものアイデアと計画が練られるもののまとまらず、ついに1982年ナポリ新都心計画は丹下 氏に一任されました。
イタリア、ナポリという異国の地で、こんなに評価されているなんて日本人として誇らしいですね。着工からおよそ10年がかりで1995年に当時イタリアで唯一となる超高層ビル街が誕生しました。
チェントロディレツィオナーレの課題
車での交通アクセスの悪さ
チェントロディレツィオナーレでは車での交通アクセスの悪さによる渋滞が問題となっています。
チェントロディレツィオナーレにはオフィス街に集中する車の渋滞を避けるため、地下に道路と大きな駐車場スペースが設けられていますが、問題はそこに至るまでの道のりで、ナポリ郊外からチェントロディレツィオナーレに向かうためにはナポリ市内の有料バイパス(Tangenziale di Napoli)を利用するしかありません。そのため、バイパス出入口はいつも大渋滞(特に朝と夕方)。道路の整備による渋滞緩和はナポリの大きな課題です。
夜間の閑散としたビル街と治安の悪さ
また、日中はオフィスで働くビジネスマンのためにカフェテリアやピッツェリア、バールなどのお店も多くみられますが、夜になると人影がなくなりどのお店もシャッターを下ろし、治安も悪くなりがちです。
せっかくこれだけオフィスが入っているビルがあり、可能性を感じる現代的なつくりなだけに非常にもったいないと個人的には思っています。もっと夜にでも人が集まるような施設だったり、レストラン、広場でのイベントなどで賑わえば治安もよくなり活気あるエリアに変われるはずです。
今後のチェントロディレツィオナーレの在り方
ナポリの歴史ある街並みに反して一見浮いてるようなモダンなつくりのチェントロディレツィオナーレ。その不自然とも捉えられる現代的な建物はしばしばナポリ人の批判の対象となります。
ただ、ナポリの経済発展を支えているのは間違いなく、もはやナポリのビジネス分野では欠かせないエリアとなっているので、これらの課題が近い将来に改善されてもっと活気あるチェントロディレツィオナーレが見れるといいなと思います。
Centro Direzionale
住所: Viale della Costituzione, 80143 Napoli NA
最寄り駅: ナポリ中央駅(Napoli Centrale)から徒歩約5分