イタリアには新年明けてすぐにベファーナとよばれるお祭りがあります。
クリスマス休暇を締めくくる日で、子どもたちがお菓子をもらえる日としても知られています。そんなベファーナの起源や過ごし方についてみていきましょう。
ベファーナとエピファニア
キリスト教(主にカトリック教会)では1月6日にイエスキリストの顕現を記念するエピファニア(公現祭)とよばれる行事があります。
イタリアではこのエピファニアの日にベファーナとよばれる魔女が子供たちにお菓子を配りにくるというイベントがあり、1年をいい子で過ごした日にはお菓子、悪い子には炭(carbone)が入った靴下を持ってくるとされています。
現在では本来のエピファニアのお祭りという意味が薄れつつあり、「ベファーナがお菓子を持ってくる日」という商業的なイメージが強くなっている印象です。
イタリアのスーパーや出店ではこの時期はお菓子コーナーにズラッと色々なお菓子が並び、大人たちは子どものためにお菓子を買いにでかけます。値段も通常より安く、大体がひとつのお菓子50セントほどで売られています。
エピファニアの本当の意味
エピファニア(公現祭)は主にカトリック教会の行事で、イエスが救い主としてこの世に現れたことを記念する日です。
「救い主であるイエスが生まれることを御使いに知らされた東方の3人の博士たちは、輝く星をたよりにイエスが生まれたベツレヘムへと向かいます。飼い葉おけに寝ているイエスを見つけると、それぞれ博士たちは贈り物をイエスにささげ、救い主の誕生を祝いました」
東方の博士のように救い主の誕生を祝うのがエピファニアの本当の意味です。
ベファーナの伝承
イタリアのベファーナはこのエピファニアにちなんで人々が後付けで作り上げた物語です。
よく知られている伝承はこうです。
「イエスに会いに行こうと旅をしていた東方の博士たちは、一晩ある村で宿泊し、そこにいる老婆に道を尋ねました。老婆は道を知りませんでしたが、東方の博士たちは一緒に救い主に会いにいこうと提案します。ですが老婆は多忙を理由にその誘いを断ってしまいます。博士たちが旅立ってから老婆は誘いを断ったことを後悔し、生まれたばかりのイエスを探しに出かけます。場所がわからない老婆は一軒一軒家をまわり、イエスかもしれない子どものためにプレゼントとしてお菓子を配って回りますが、イエスは見つからず今でも魔女となってこの時期になると救い主を探しています」
いつ頃からこのベファーナが人々の間で語られるようになったか詳しいことは分かりませんが、イタリア中にこの話は広まり、今でも「子供たちがお菓子をもらえる日」として楽しまれています。
ベファーナの姿
ベファーナの設定は伝統的にある程度統一されています。
ベファーナは箒にまたがって子どもたちにお菓子を配る魔女で、長い鼻とするどい目が特徴ですが、よく見るとどこか優しさも感じることができます。
この時期にはベファーナのぬいぐるみだったり人形も街中で見ることができます。中には家の窓に飾っている家もあるので、探してみるのもいいかもしれません。
・貧しい魔女(老婆)
・怖そうな顔だけど実は優しい
・青い目
・長くとがった鼻
・箒で移動